クマ目撃情報が激増 7カ月で139件、和歌山県「入山時は注意を」
和歌山県内のツキノワグマの目撃情報が本年度、10月末までの7カ月で139件と過去10年で最多になっている。最も多かった2021年度の1・8倍ほど。県自然環境課は「例年、冬の目撃情報は少ないが、万が一に備え、山に入る時は注意してほしい」と呼びかけている。 【クマの目撃情報で注意喚起 和歌山県田辺市の中辺路多目的グラウンドの記事はこちら】 県自然環境課によると、市町村で最多は田辺市の23件。内訳は旧龍神村が15件、旧本宮町4件、旧中辺路町3件、旧大塔村1件。旧田辺市はゼロだった。 田辺市に次いで多かったのは日高川町20件、新宮市と有田川町の19件。紀南ではほかに那智勝浦町7件、北山村6件、上富田町5件、古座川町2件、みなべ町1件となっている。 ツキノワグマは餌を探して長距離を移動するため、同じクマが複数回目撃されている可能性があるという。上富田町などでは人里で目撃された例があり、地域住民を驚かせた。 県立自然博物館の学芸員によると、温暖な紀伊半島のツキノワグマは冬眠しないといわれており、今後も出没する可能性がある。また、若い個体が多いことや、今まで目撃されていない場所に出没していることなどから、弱いクマが追いやられた可能性もあるという。 学芸員は「地域にクマを呼ばないために、放棄園の果樹を伐採することやハチの巣箱ゴウラの置き場所を考えるなど、地域的に認識してほしい」と話している。 【ツキノワグマ】 体長110~150センチ、体重80~120キロで本州最大の陸上哺乳類。落葉広葉樹林のある山地を主な生息地としている。鋭い爪と大きな歯を持ち、木に登ったり、時速40キロほどで走ったりすることができる。県では1994年から狩猟が禁止されており、県レッドデータブックで絶滅危惧2類に選定されている。
紀伊民報