「人民日報」社説はまるでトランプの“ご機嫌取り”…「関税60%」男の当選で戦々恐々とする「習近平」 台湾封鎖なら関税は「200%」の恐怖
台湾問題が争点に
一方、中国にとって、トランプ次期政権発足に伴う“火種”とみられるのが台湾問題だ。習氏が2027年8月1日の建軍100周年という節目に台湾侵攻作戦を断行するとの予測について、このところ米軍や米政府の高官がしばしば発言している。 米インド太平洋軍のジョン・アキリーノ司令官は今年3月20日、米下院軍事委員会に出席し、中国軍が2027年までに台湾に侵攻しようとする目標を達成しつつあることを「あらゆる兆候が示している」と証言した。 また、米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官も昨年2月、米ワシントンでの講演で、「習近平国家主席が『2027年までに台湾侵攻を成功させる準備』を軍に指示した情報を把握している」とも指摘している。 米海軍作戦部長のリサ・フランケッティ大将も今年9月18日、米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」で講演し、「中国人民解放軍が建軍100周年に当たる2027年に台湾侵攻を断行し、米中両軍が戦火を交える可能性がある」などと語っている。
着々と進める軍事作戦
今年10月中旬、中国軍は台湾本島沖合の6カ所を拠点として、台湾全島を取り囲み、大規模な軍事演習「連合利剣―2024B」を実施した。戦闘機や戦艦、潜水艦なども出動するなど、経済封鎖をちらつかせた。中国軍が今年5月に実施した前回演習は末尾が「A」だったため、今後、「C」を実施する可能性も取りざたされており、中国は着々と台湾への軍事作戦の準備を進めているようだ。 フランケッティ氏は、中国軍の戦力を分析し、中国軍を壊滅させるための「プロジェクト33」という対中軍事作戦計画を策定した。「33」は同氏が第33代目の作戦部長であることから、作戦名に入れられたという。その根幹は人工知能(AI)やドローンなどの無人システムを最大限活用しつつ、軍艦や潜水艦、戦闘機および、全兵員の80%を常時戦闘に投入できる能力を持つという2段階仕立てとなっている。 仮に、バーンズCIA長官らが指摘する2027年8月1日前後に、習近平氏が台湾侵攻軍事作戦を断行するとすれば、トランプ氏も大統領任期中(2025年1月20日~2029年1月20日)だけに、何からの対応をとらなければならなくなる。