【堂本光一 コンマ一秒の恍惚web】フェラーリとマクラーレンにタイトル挑戦のチャンスが出てきた
■このままではモナコの価値が下がってしまう これはF1のあるべき姿じゃないですよね。美しいモンテカルロの公道を封鎖してつくられた難コースを、ドライバーたちがガードレールギリギリに攻めて全開で走っていくのがモナコGPの醍醐味です。少しのミスがあればガードレールの餌食になるため、モンテカルロ市街地コースを制するためには、高い集中力とテクニックがドライバーに要求されます。 だからこそ、「モナコGPの1勝はほかのレースの3勝分の価値がある」とF1の世界では言われています。でも今年のようなレースを見せられると、いくらモナコGPは長い歴史と人気を誇る特別な一戦とはいえ、その価値が下がってしまうと思います。 超スローペースのレース展開になったのは、ドライバーのせいではありません。現在のレギュレーションがそうさせている部分が大きいと思います。近年、F1はレギュレーション変更によってマシンの大型化が進み、コース幅の狭いモナコでは追い抜きが困難というレベルではなく、まず不可能になっています。 さらにモナコは平均速度が低いためにタイヤにかかる負担が小さく、現行のタイヤではピットストップをしなくても最後まで走り切れてしまいます。レギュレーションでは各グランプリにハード、ミディアム、ソフトの3種類のタイヤが投入され、レース中に2種類以上のタイヤを使用しなければなりません。 でもモナコだけは特別ルールを設けて、ソフトよりも軟らかくて摩耗が激しいスーパーソフトタイヤを投入したり、2種類でなく3種類のタイヤを全部使うことを義務付けたり、そういう思い切ったことをしてタイヤ戦略の幅を広げていかないと、今回のような退屈なレースが再び行われるかもしれません。レギュレーションを見直すなど、何らかの対応をとってほしいと思います。
■100%完璧な仕事をしたRBの角田裕毅選手 モナコでは角田裕毅(つのだ・ゆうき)選手が8位に入り、第6戦のマイアミGPから3戦連続で入賞しています。予選でアストンマーティン勢を上回る8番手に入り、決勝でもそのポジションをしっかりと守り切りました。 でも角田選手も入賞したほかのドライバーと同様に後ろの選手を見ながら、スローペースで走るという戦略を強いられました。モナコの角田選手は速さがあり、決勝でも前を走るメルセデスのルイス・ハミルトン選手やジョージ・ラッセル選手にひけを取らないペースがあったと思います。 攻めの走りを見たかったですが、事実上、追い抜きができないモナコではトラックポジション(見た目の順位)が重要なので仕方がありません。角田選手本人もフラストレーションが溜まったと思いますが、予選の順位を守ってポイントをしっかりと持ち帰るというチームのオーダーに応え、ドライバーとして完璧な仕事をしたと思います。 角田選手(獲得ポイント19)はモナコGP終了時点のドライバーズランキングでフェルナンド・アロンソ選手(獲得ポイント33)に続く10位。ここ数戦、好調をキープするRBは、アロンソ選手の所属するアストンマーティンと肩を並べるパフォーマンスを発揮できています。 RBのマシンは開発が進んで速くなってきていますが、クルマの総合的なポテンシャルとしてはまだトップグループ、レッドブル、フェラーリ、マクラーレン、メルセデスなどと、予選・決勝を通して互角の勝負ができるレベルまで来ていません。中団グループのウイリアムズやアルピーヌも速くなっており、今後のさらなるアップデートに期待しています。