NewJeans以降のK-POPはどうなるのか。2024年に表れた「新たな変化」
2022年のNewJeansのデビュー以降、明らかにK-POPのトレンドが変わった。これまでのトレンドだったガールクラッシュとは明らかに異なる、肩の力の抜けた軽快なビート感覚。メジャー7thやマイナー7thを多用した洒脱なコード感。あるいは3分未満の短い楽曲など、SNSを中心に「イージーリスニング」と評される楽曲が増えた。 【動画】いまのK-POPサウンドの「元祖」といわれるグループは? それから2年、K-POPはまた変化の季節を迎えている。その変化を強引に一言でいうなら、「アメリカからヨーロッパへ」ということになる。
いわゆる「K-POP的なサウンド」とは
前提として、「K-POP」という言葉の定義はあらゆる音楽ジャンルがそうであるように曖昧にならざるを得ないが、ここでは、1990年以降の韓国で生まれ発展したダンスグループの音楽スタイルを指す。その源流とされる(YGエンターテインメント創業者であるヤン・ヒョンソクもメンバーだった)ソテジワアイドゥルがアメリカのヒップホップとR&Bをミックスするスタイルを有していたように、K-POPはアメリカの、特にアフリカン・アメリカンが中心になって推進した音楽スタイルを大きな参照点としてきた。 そして1990年代から2000年代にかけて発展したK-POPは2010年代以降、国際的な認知を拡大させるなかでEDMやトラップなどのアメリカの音楽トレンドを巧みに取り入れることで、独特の様式を築いた。 EDMは、4つ打ち(4/4)のビートとシンセサイザーのサウンドを基調としつつ、ビルドアップ(徐々に盛り上がる部分)から一気にドロップ(クライマックス)に突入する構成を特徴とし、トラップは、重低音の808ドラム(低音のシンセサイズされたドラムサウンド)をベースに、複雑なハイハットのパターンを加えるサウンドを特徴とするラップミュージックとして、2010年代の北米ポップシーンを席巻している。 多くのK-POPの作り手たちが、このEDMやトラップの要素をJ-POP的な「Aメロ→Bメロ→サビ」の楽曲構成に組み込み、フォーメーションダンスと歌とラップのための土台としている。これが「K-POP的なサウンド」に対する多くの人が持つイメージではないだろうか。こうしたスタイルを代表する楽曲に、EXO「Monster」(2016年)、BLACKPINK「DDU-DU DDU-DU」(2018年)などが挙げられる。 そんな2010年代以降に確立されたK-POPの特徴的な音楽スタイルが、2022年のNewJeansの登場を挟んで、新たなフェーズに入ろうとしている。ヨーロッパのクラブミュージックの要素を再解釈した、新たなスタイルが生まれてきているのだ。