花組新トップ永久輝せあ、決意の船出「出会いと別れ、たくさんの思いが詰め込まれています」
花組新トップ永久輝せあが、相手娘役星空美咲との新トップコンビで、今月10日に、兵庫・宝塚大劇場での本拠地お披露目となる「ファンタジー・ホラロマン『エンジェリックライ』」「レヴュー グロリア『Jubilee(ジュビリー)』」の千秋楽を迎えた。 公演は9月28日に開幕。専科から出演した人気スター凪七瑠海の退団公演でもあり、永久輝は凪七、そして自身と同期の人気スター綺城ひか理ら、仲間を本拠地から送り出した。 大羽根を背負って大階段を下り、フィナーレまで終えた本拠地の舞台。千秋楽では凪七のサヨナラショーもあり、全編を終えると、永久輝は「まずは、出演者みんなで今日という日を迎えられ、感謝いたしております」と、無事に完走できたことへの思いを伝えた。 トップとして立った大劇場の舞台には「今まで見たことのない景色、間近で見るお客さまの笑顔、大きな、大きな拍手、出会いがありました」。一方では、仲間の卒業を祝う舞台でもあり「それと同時に、こうした大切な仲間との別れが…。出会いと別れ、たくさんの思いが詰め込まれています。東京公演も、今できる最大限の思いを惜しみなく詰め込んでいきたいと思います」と約束した。 今作芝居は作・演出が谷貴矢氏。永久輝は「天界一の大ほら吹き天使」アザゼルにふんし、持ち前の繊細な演技力を発揮した。類いまれな美貌に聡明(そうめい)な頭脳を持つが、素行は悪い。天帝の怒りを買い人間界へ修行に落とされ、「トレジャーハンター」を名乗るエレナと出会い、秘宝「ソロモンの指輪」をめぐる争いに巻き込まれる。 新トップ娘役の星空は、エレナを熱演。凪七が謎めいた宝石商フェデリコを好演した。人気スター聖乃あすかは、フェデリコの秘書で、実は悪魔という役柄。天使と悪魔が入り乱れる“だまし合い”合戦に、永久輝演じるアザゼルと、エレナは共闘していく。 綺城は、優等生の「大天使ラファエル」にふんし、永久輝演じるアザゼルとは「天使学校から同期」の設定。実際にも同期の永久輝とともに、人間界で奔走する姿をコミカルさもまじえて表現した。 ショーの作・演出は稲葉太地氏。「記念祭」「祝典」を表すタイトル通り、宝塚歌劇110周年と、新生花組を祝うかのような華やかな展開。永久輝が凪七と組み、ファンを魅了する場面もあった。 宝塚公演を終え、東京宝塚劇場公演は12月7日の開幕(来年1月19日まで)を控える。凪七らが東京千秋楽で退団する。次回は、凪七の本拠地サヨナラショーの模様を伝える。 【村上久美子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「宝塚~朗らかに~」)