トランプ氏がヒトラー肯定発言?で物議 舛添要一氏「ジェノサイドと経済政策は切り分けて評価を」ドイツ人コラムニスト「”いい面”にあえて注目する必要ない」
■ヒトラーは「良いこともした」は虚構
ドイツ出身のコラムニスト、サンドラ・ヘフェリン氏は「ヒトラーを評価することはありえない」との立場だ。「半世紀前には『ヒトラーが好き』という人も結構いたが、ずっと問題になっていた。若い世代がいくら否定しても、『あの時代は良かった』と言う人は存在した」と振り返る。 しかし、それから数十年がたち、「年配者もふくめて『反省すべき』と扱っている」のが現状だそうだ。「失業者対策もアウトバーンも、戦争に突き進むためのことだった。その結果を考えた時に、果たして“功績”と言えるのか。なぜ良い点にスポットが当てられるのか、私には理解しがたい」。 サンドラ氏は「良いこともした」は虚構だと指摘する。経済復興・失業率減は、「統計が恣意的なのでは?」「ヒトラー発案じゃない物も」「例え本当でもその目的は『戦争』のための強国作り」と考える。また、少子化対策や健康政策は、「“強い兵士”育成のため」「“罪”の犠牲の上に成り立っている“功”もある」と指摘する。そして「良いことした」論の人は、極右など、その向こうに「思想」が見えるという。 失業率対策や少子化完全など、あらゆる政策が「優秀な兵隊を作り、戦争へ行かせるため」のものだとして、「ドイツ人としては、その過程を功績とは言えない」と繰り返す。「一部の右翼が言っても、メディアや世間から一斉にたたかれる」。 一方で日本では、気軽に名前を出されることも多いという。「人前で話すのが苦手だったが、ある日本人から『ヒトラーは演説が上手だったから参考にすれば』と言われてびっくりした。悪い政治家という意識が欠けて、マスコットキャラのようになって、“部分的にお手本にすべき人”と扱われている」と懸念を示す。 舛添氏は、「第1次世界大戦の戦勝国が、ドイツに対して天文学的な賠償金を強いたことで、経済が立ち行かなくなった。その反省から、第2次世界大戦では、日本から賠償金を取ろうとしなかった」と解説する。「ドイツがハイパーインフレになったのは、ドイツの経済運営だけが悪いわけではない。当時のドイツ人が評価して、今のドイツ人が評価しない“考えの違い”をはっきりさせないといけない」。