パーカーズ「あなたのナンバーワンになれますように!」 キラッキラなエネルギーで埋め尽くされたツアー初日をレポート
さらに「少年少女よ」の前に豊田が「あなたに歌ってるよ!」と叫んだときも、“あなた”は“私”だ、とドキッとしたほどだった。正直、何年も前に少年少女と呼ばれる時期を終えてしまった筆者でさえ、だ。そして豊田が「どこまでもついてきてください!」と叫んだ「地獄ランデブー」。このピュアで猪突猛進な姿勢は、これからますます、たくさんの人たちに届いていくに違いないと確信できた。 そう、バンドは一曲一曲を隙間なく畳みかけていき、オーディエンスも楽曲を把握しピッタリとついていく様子は、まさにフレッシュそのものである。さらに、ねたろ&ナオキ&フカツによるグッズ紹介も、オーディエンスから「かわいい~」コールが連発する様子に、バンドもオーディエンスもみんなかわいいわ!とオカン目線で思ってしまうほどだった。一方で、もっと幅広い趣向や年齢層のリスナーを惹きつける可能性も感じたライブでもあった。その大きな理由のひとつが演奏だ。 パーカーズは“POPS日本代表”を掲げており、実際に楽曲のみならずキャラクターもポップそのものと言えるのだけれど、演奏はギターバンド然としていて、グルービー。歌やメロディだけに頼らず、アレンジでも魅せる気概を感じたのだ。 ナオキのギターソロが鳴り響いた「BERRY」。イントロのギターから飛び跳ねずにはいられない「痛いの飛んでゆけ」。スローになるフレーズから渋さがにじみ出る「こんな夏がいい」。オーディエンスのハンドクラップも含めて、そのときならではのテンポ感で進んでいくような「君が好き」。起伏に富んだ展開は、様々なライブを観てきた大人も夢中にさせるトキメキがちりばめられていた。 バンドならでは、ライブならではの魅せ方に、豊田の「『VICTORY TOUR』の仙台公演は、今日しかありません」というMCを重ねた。“今、ここ”にしかないものを、MCなどのコミュニケーションだけではなく、演奏でも表現している。その、昔ながらとも言えるスタイルに、今こういったバンドが10代や20代に支持されていることがうれしくなったし、2024年のライブシーンにおける希望だと思えた。 そして、やはりその中心にいる豊田の歌心にも注目せずにはいられない。特に、弾き語りからバンドになだれ込んでいく「ララバイ」の熱唱には、涙腺にトドメを刺された。ひと言ひと言、歌詞を手渡すように歌うような誠実さに、このバンドを背負う器を感じた。 「出会ってくれてありがとう」と感謝した「運命の人」では大きなシンガロングが響き、「ハッピーをちょうだい」では温かなハンドクラップに包まれた。一人ひとりのオーディエンスとギュッと握手するような体温を感じる繋がりのままで、名実ともに“POPS日本代表”になって欲しい......そんな願いを抱かずにはいられないライブだった。ぜひ、パーカーズが階段をかけのぼる瞬間を目撃してほしい。 Text:高橋美穂 ■パーカーズ『POPS日本代表 VICTORY TOUR』 8月3日(土) 仙台enn 3rd <セットリスト> 1. おねがい神様 2. SMASH 3. 中華で満腹 4. BERRY 5. こんな夏がいい 6. 痛いの飛んでゆけ 7. 怪獣万歳! 8. あいこでしょ 9. Love is over 10. 君が好き 11. 少年少女よ 12. ララバイ 13. ハッピーをちょうだい 14. 地獄ランデブー 15. ナンバーワン EN1 Goodbye EN2運命の人 <『POPS日本代表 VICTORY TOUR』ツアースケジュール> 8月3日(土)仙台enn 3rd 8月10日(土) 広島ALMIGHTY 8月11日(日) 福岡Queblick 8月15日(木) 心斎橋BRONZE 8月16日(金) 名古屋ell.FITS ALL 8月22日(木) 渋谷CLUB QUATTRO ※全公演チケットソールドアウト <リリース情報> 1st フルアルバム『POP STAR』 発売中 【収録曲】 01.運命の人 02.地獄ランデブー 03.ナンバーワン 04.少年少女よ 05.BERRY 06.中華で満腹 07.あいこでしょ 08.ララバイ 09.SMASH 10.痛いの飛んでゆけ 11.Dramatic Blue 12.君が好き 13.ハッピーをちょうだい 14.Goodbye