全世界が注目…「プーチンに命を狙われる」ロシア人記者が「戦争中のウクライナ」に行かなければいけなかったワケ
「NO WAR 戦争をやめろ、プロパガンダを信じるな」...ウクライナ戦争勃発後モスクワの政府系テレビ局のニュース番組に乱入し、反戦ポスターを掲げたロシア人女性、マリーナ・オフシャンニコワ。その日を境に彼女はロシア当局に徹底的に追い回され、近親者を含む国内多数派からの糾弾の対象となり、危険と隣り合わせの中ジャーナリズムの戦いに身を投じることになった。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション ロシアを代表するテレビ局のニュースディレクターとして何不自由ない生活を送っていた彼女が、人生の全てを投げ出して抗議行動に走った理由は一体何だったのか。 長年政府系メディアでプロパガンダに加担せざるを得なかったオフシャンニコワが目の当たりにしてきたロシアメディアの「リアル」と、決死の国外脱出へ至るその後の戦いを、『2022年のモスクワで、反戦を訴える』(マリーナ・オフシャンニコワ著)より抜粋してお届けする。 『2022年のモスクワで、反戦を訴える』連載第9回 『タイヤの空気を抜かれ、カードは止められて…数百万のロシア人の前で反戦を訴えた女性に降りかかった「異変」』より続く
ドイツから届いた助け舟
「親愛なるマリーナ」ドイツから送られてきたメッセージを読んだ。 「わたしはヤーカ・ビジーリと言います。〈平和のための映画〉基金の理事長です。明日、ヴェルトテレビのライブにご出演いただけますか?」 ヤーカ・ビジーリ、どこかで聞き覚えのある名前だ――すぐに思い出した。ナヴァリヌイが毒薬ノヴィチョクを仕掛けられた時、ナヴァリヌイの避難を助けた人だ。 「声をかけていただいてありがとうございます。もちろん中継に出ます。ただ時々インターネットに問題が起きることがあります」と書いた。 わたしたちはアクセスの技術的な解決策を電話で話し合った。 翌日、ヤーカはもう一度、メッセージを送ってきた。 「メディアコンツェルン〈アクセル・シュプリンガー〉があなたの雇用を考えています。新聞『ビルト』か『ヴェルト』で働く気はありませんか?」 わたしは返事を書いた。 「『ヴェルト』がいいと思います」 この時わたしが知っていたのは、『ヴェルト』はロシアの『コメルサント』のような新聞だということだった。
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