山形県知事選9日告示 今回の選挙に問われるもの…「災害対応」「人口減少」
山形放送
任期満了に伴う山形県知事選挙が9日告示されます。現時点の情勢や県政課題について、選挙取材を担当している大矢賢悟記者に解説してもらいます。 県知事選は現時点で現職と新人による一騎打ちとなる公算が大きくなっています。これまでの経緯です。。 知事選を巡っては自民党の動きが大きく影響しています。 これまで吉村さんと対決姿勢をとってきた自民党県連が12月中旬、独自候補の擁立を断念し支援に回りました。これにより吉村さんが無投票で5選を果たす公算が大きくなっていました。 しかし12月下旬、福島県白河市在住で自然体験塾などを運営する金山さんが無投票阻止を訴え出馬を表明しました。 現職と県外在住の新人という異例の構図となりそうですが今回の選挙選、それぞれの支援体制はどうなっていますか? 今回の知事選ではこれまでも支援に回っていた立憲民主党県連、国民民主党県連、共産党県委員会が吉村さんを支援、さらに前回対立候補を立てた自民党県連も今回は吉村知事の支援に回りました。自民党と非自民が相乗りするケースは異例です。 一方の金山さんは政党の支援は受けず、草の根の戦いとなりそうです。 もし吉村さんが当選すれば県知事では1955年から5期務めた安孫子藤吉さん、1973年から5期務めた板垣清一郎さんに並び歴代最多となります。 今回の選挙選はどのような意味合いがあると予想されていますか。 今回は吉村県政の4期16年をどう評価するか、信任投票の色合いが濃くなっています。吉村さんが掲げる公約と今の県政が抱える課題についていくつか見てみます。まずは「防災」についてです。 相次ぐ災害で県民の関心が高まっている分野ですね。 県内では去年7月、庄内・最上地域を中心に大雨の被害に見舞われました。その2か月後の9月には浸水被害を受けた世帯への支援など被災者支援を盛り込んだ補正予算を編成しています。 吉村氏「1日も早く元の生活に近い日常生活を取り戻していただけるよう、 身を粉にして働いていかなければいけない」 4期16年の実績を有権者はどう評価するのかがポイントとなってくるということだと思いますが、一方で課題はどういったものがあるのでしょうか。 1つはJR米坂線の復旧に向けた対応です。 2022年8月、置賜地域を中心に襲った大雨災害では、JR米坂線が被災し、現在も区間運休が続いています。県は復旧費用の負担やその後の運営についてJR東日本と協議が続けていますが、運転が再開できるかどうか今もなお不透明な状況が続いています。 JR米坂線の復旧が道半ばの状態で再び県内で大きな災害が発生しました。復旧を待たずして頻発する自然災害に防災・減災などの視点も含めどう対応していくのか今後の対応が注目されます。 ほかにどのような課題に注目していますか。 2つ目は「人口減少」です。 県のまとめによりますと12月1日現在の県内の人口は100万8775人でした。前の月より987人減少しこのまま推移すれば年内に100万人を割り込むとみられています。 県内では若い世代が就職や大学入学などを機に県外へ移り住むケースが多く県内に住み続けたいとか、Uターンしやすいなど魅力ある地域づくりが必要です。 人口減少の課題に対し、吉村さんは若者や女性の目線を重視しています。一方、そうした公約に目新しさはなく、実効性をどう担保するか、実際に「人口減少」に歯止めが掛けられるかは不透明です。 金山さんは子育て環境の充実などを掲げていますが、実現性は未知数です。 選挙戦となることで県内の課題、候補者の主張が見える一方で、選挙にかかる経費はどうなるのでしょうか? 県選挙管理委員会によりますと選挙戦となった場合、無投票の場合と比べ最大でおよそ4億円、経費が増えると試算されています。このことについて両候補は次のように述べています。 金山氏「無投票になったらどこを支持するかアンケートもできない選挙をやればはっきりわかる」(選挙をやることに4億円の価値がある?)「そうです」 吉村氏「山形県民のことをもっと考えていただければと思うしその方(金山氏)のおかげで17日間の時間をいただけたとも思うのでプラスのほうに受け取ってできるだけ県内を回って多くの県民に施策を訴えたい」 今回の選挙戦で、県政課題に対する関心や議論が深まるのかなどに注目し、取材を続けていきます。