「ネパール震災に長期的な支援を」親日ネパール人ジギャン・タパさんが訴え
「すぐにでもネパールの実家に帰りたい」。来日15年目で、日本ネパール協会の理事を務める同国出身のジギャン・クマル・タパさん(35)は、そう打ち明けた。首都カトマンズの南20キロにある実家が、25日の大地震で倒壊した。家族は無事だったが、祖国が直面している国難に心を痛めている。
いまネパールが必要としているもの
6歳のとき、青年海外協力隊のメンバーが自宅にホームステイしたことをきっかけに、日本の文化に触れた。願いかなって、2000年に留学生として来日した親日派。以来、テレビやラジオにも出演し、日本とネパールの友好の架け橋となってきた。 地震が起きてからというもの、大使館と連絡をとったり、日本からネパールに支援物資を届ける段取りを整えたり、ラジオやインターネットを通じて情報を発信したりして力を尽くしてきた。震災から4日目。互いに心支え合いたいこの時期に、心配は募るが、家族らとは多く連絡をとっていない。「私がいま、国のために働いていることを家族は知っていますから、大丈夫です」と気丈に話す。 日本でも連日、ネパールの地震被害が報道される。しかし、報道の範囲はカトマンズやエベレストや世界遺産といった日本人の関心が高いエリアの被害に限られることが多い。「確かに文化財的な被害は大きいのですが、実際は地方の被害の方が大変なのです。カトマンズからのサプライチェーンが途切れていて、必要な物資が届いていないのです」。 現地が必要としている物資は8品目あるという。(1)薬(2)テント(3)ドライフード(4)水(5)ブランケット(6)浄水器(7)衛生用品(8)マットレスだ。ネパールは、5月中旬から雨季を迎える。現地では、ワラ敷いて寝ている子どもたちもいるといい、早く安心して暖かく寝られる環境を与えてあげたいと心がはやる。 28日、全日空がネパールで発生した地震被害の輸送協力を行うと発表した。「日本政府や企業の動きが早く、助かりました」と感謝するが、物資を送るルートは十分に確保できていない。全日空の輸送協力は、成田発着のインド・デリー線が対象であるため、そこからカトマンズには国境を超えて陸路で輸送しなければならない。2日かかる。ほかの航空会社のさらなる支援に期待するところは大きい。