PTA会費を同意なく給与引き去り…県立高校教諭が返還求め鹿地裁へ控訴「一審判決は法的根拠示さず」 校長・PTA側は棄却求める 第1回口頭弁論
PTA会費が給与から同意なく引き去られていたとして、鹿児島市内の県立高校の40代男性教諭が、校長とPTAを相手取り、会費の返還を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が3日、鹿児島地裁であった。教諭は鹿児島簡裁の一審判決が誤った認定に基づくものとして取り消しを主張、校長とPTA側は控訴棄却を求めた。 【写真】控訴した男性教諭の給与明細。月々230円がPTA会費として引かれていた
教諭は2023年7月、現在の勤務校に着任した17年度から22年度までに支払った会費計1万6560円の返還を求めて鹿児島簡裁に提訴していた。簡裁は今年8月、学校要覧に会則が規定されていることなどを理由に「PTAが全職員に事前かつ個別に会費の同意を取る義務があるとまでは言えない」と訴えを退けた。教諭は控訴理由書で「判決は法的根拠を示していない」と訴えた。 校長側は答弁書で「給与からの控除金に会費が含まれていることは明示されていた」、PTA側も「振替決済が継続されたのは不合理なものではない」などと棄却を求めた。 ■PTA ペアレント(親)、ティーチャー(教員)、アソシエーション(組織)の略。1946年、終戦後の民主化のために派遣された米国教育使節団が、父母と教員が協力して団体活動を行うことを勧める報告書を発表し、文部省(現文部科学省)の指導で全国各地につくられた。学校の後援組織ではなく、保護者が学校と連携して子どものために活動する社会教育団体との位置付けになっている。52年に全国組織「日本PTA」が発足し、後に公益社団法人「日本PTA全国協議会」に改編された。
南日本新聞 | 鹿児島
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