鳩山由紀夫氏インタビュー 日本に必要な論語の「仁」と「恕」の心
【CNS】「仁(じん)」と「恕(じょ)」は、中国古代で最も著名な思想家・孔子(Kongzi)の教義を記した「論語(ろんご)」に掲げられている二つの大きな徳目である。 「仁」は、孔子の思想「儒教(じゅきょう)」の中核となる徳目で「他社への思いやりと愛情」を指す。また「恕」は「論語」の教えでは、本来の「誠実さと思いやり」の意味のほかに「人への許し」の意味も持つとしている。 日本の元首相・鳩山由紀夫(Yukio Hatoyama)氏へのインタビューの際、同氏は「論語」の「仁」と「恕」を「友愛の精神」に近いものだと認識していると話した。 鳩山氏は、論語における、「仁なる人」は、自身が目標を実現しようとする時、同時に友人や他の人びとの目標をも実現させるようにすべきだとしている。また「恕」の精神とは、自分が嫌だと思う物事や行為を、他人に押し付けてはならないということだとしている。つまり、人は「自分を愛する」だけでなく、「他人をも愛し、利する」べきだとしている。この「友愛の精神」を堅持することによってのみ、東アジアと世界は恒久的な平和を達成することができるのだと信じている。 国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は最近、「地球温暖化」の時代は終わり、「地球沸騰」の時代が到来したと警告した。近年、日本も中国も猛暑や豪雨に見舞われ、人命や財産に甚大な被害が出ている。鳩山氏は、自然の前ではどの国の人間も同じ運命にあることを実感している。それゆえ中国が提唱する「人類運命共同体」の理念に深く賛同しているという。 サウジアラビアとイランは2023年4月6日、中国の仲介の下、北京で国交回復を正式に宣言した。両国は協力の道に進み、中東諸国の協力関係の構築にも実現可能な道筋が見えてきた。これもまた「仁」と「恕」の思想が体現したものだということができる。 鳩山氏の祖父、鳩山一郎(Ichiro Hatoyama)氏が生前最後の揮毫となった「和為貴(和を以て貴しとなす)」も論語の一節である。 鳩山氏は、「和為貴」は西洋には見られない東洋独特の思想だと思っている。西洋では「強者」が重んじられ、一対一の決闘では勝った方が王様になる。スポーツの世界では勝者と敗者がいるのが普通だ。しかし政治、経済、文化の世界では「和」がより重要である。 こうした理念を西洋に広めることこそ、東洋の二大国である日本と中国がなすべきことではないだろうか。 昨年は日中平和友好条約締結45周年という大きな節目の年であった。しかし、日本には「中国脅威論」を唱え、軍事力を強化し続ける人びとがいる。軍事力の強化は平和を作るための手段ではないし、日中両国民が望むものでもない。それどころか、「仁」と「恕」の精神を堅持し、たとえ価値観が違っても、お互いを尊重し、理解し、学び合い、協力し合える国際社会を構築してこそ、日中両国はより良い未来に向かうことができるのではないだろうか。鳩山氏はこのような考えを語った。(c)CNS/JCM/AFPBB News ※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。