【今月おすすめの本】中島京子『うらはぐさ風土記』他3編
『赤い星々は沈まない』 月吹文香 ¥1870/新潮社
老人介護施設で色気を振りまく入居者・キヌ子と、彼女の世話をしながら夫とのセックスレスに悩む看護師・ミサの姿を描いた表題作(第18回『R-18文学賞』大賞受賞作)をはじめ、中年期を過ぎた人たちの欲望や悩みが収められた短編集。ママ友との付き合い、過干渉な姑などリアルな設定や心理描写が多く、それぞれの物語は短いながらも、作品世界に没頭できる!
『ネオ日本食』 トミヤマユキコ ¥1980/リトルモア
パフェ、たらこスパゲティ、焼き餃子やカツレツなどを「和食に次ぐ、ネオ日本食」と定義した著者。それぞれのネオ日本食の中でこれぞ!と思える店の店主や、製造元に取材を敢行。私たちの生活に根づいていったプロセスや、作り手側の思いを丁寧に綴ったルポ。身近すぎて顧みることのなかった食文化に好奇心を刺激されると同時に、意外な奥深さにハマってしまう!
『きゅうしょくたべにきました』 シゲリカツヒコ ¥1650/KADOKAWA
豊かな人物描写と奇想天外なストーリー展開で人気の絵本作家の新作は、小学校が舞台。とある風の強い日の放課後、給食の献立表が飛ばされてしまいます。受け取ったのは天空に住む小鬼たち。人間が食べるおいしそうな給食を一度は食べてみたいと、小学校に食べに行くことに――。微笑ましくもあり、ちょっぴり怖くもなる物語。どうなる給食、どうなる子どもたち!? Staff Credit イラストレーション/SAITOE こちらは2024年LEE7月号(6/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。