【イベントレポート】池松壮亮が奥山大史作品の静謐さに言及、フランソワ・オゾンから掛けられた言葉も回想
上映企画「odessa Midnight Movies vol.21『奥山大史オールナイト』」が8月31日に東京・テアトル新宿で開催。映画「ぼくのお日さま」の公開を控える映画監督の奥山大史、出演者の池松壮亮が登壇した。 【動画】奥山大史の新作「ぼくのお日さま」予告編はこちら 奥山は大学在学中に制作した長編初監督作「僕はイエス様が嫌い」で、第66回サンセバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞を獲得。新作「ぼくのお日さま」は第77回カンヌ国際映画祭にてある視点部門に選出された。今回の上映では「僕はイエス様が嫌い」、過去に手がけた短編やMV、「ぼくのお日さま」を作るにあたって影響を受けた「リトル・ダンサー」「CLOSE/クロース」がスクリーンにかかった。 「僕はイエス様が嫌い」を公開初日に劇場で鑑賞したという池松。奥山の作品が持つ静謐さに言及し「まったく無駄がない」と称賛し、その「作品の純度」の高さをたたえた。奥山はカンヌへ渡航した際のエピソードを披露。「CLOSE/クロース」の監督ルーカス・ドンとは「ぼくのお日さま」公式上映後のスタンディングオベーション中に握手し、その後もメールを交わしている間柄だそう。ヴィム・ヴェンダース、フランソワ・オゾン、グザヴィエ・ドランとの交流についても触れ、池松はオゾンから「評判を聞いてるよ!」と声を掛けられたエピソードも明らかにした。 「リトル・ダンサー」を中学生のときに観た奥山は「映画でこんなに感動したことはなかった」と回想。映画を作りたいと考えた大学生の頃、もう一度観返し、舞台である1980年代の環境下で主人公の少年がバレエに取り組むことがいかに難しかったかを実感したと述懐する。「『ぼくのお日さま』は、『リトル・ダンサー』をやりたいと思って書いていた」と言い、お気に入りのシーンを挙げながら「今観ても新鮮」とコメントした。 奥山が大学2年生のときに制作した短編映画「Tokyo 2001/10/21 22:32-22:41」についてもトークが展開。大竹しのぶが主演を務めた同作は、「写ルンです」で撮影した2000枚の写真をアニメーションのように再構築した作品だ。「どうしても大竹さんに出てもらいたかった」という奥山は、当時、大竹の事務所へ手紙を書き、出演を直談判したそう。映画作家ヤン・シュヴァンクマイエルから受けた影響にも触れていた。 「ぼくのお日さま」は9月6日から8日までテアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテで先行上映が行われ、9月13日より全国公開。吃音を持つホッケー少年タクヤ、フィギュアスケートを学ぶ少女さくら、さくらのコーチである元フィギュアスケート選手・荒川という3人の視点から物語が紡がれる。池松のほか越山敬達、中西希亜良、若葉竜也、山田真歩、潤浩らが出演した。 (c)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS