永瀬拓矢が藤井聡太に今年度2度目の挑戦!第74期王将戦七番勝負の展望はいかに!?
藤井聡太王将に永瀬拓矢九段が挑戦するALSOK杯第74期王将戦七番勝負。今年度は様々な棋士が藤井の持つタイトルに挑戦しているが、永瀬はただ一人2度目の挑戦となった。 【写真を見る】王将戦七番勝負を控える藤井聡太 今期の王将戦挑戦者決定リーグは永瀬と西田拓也五段が5勝1敗で並び、プレーオフは「たくや」対決となった。初参加の西田はリーグ戦で永瀬を破る活躍を見せ、初のタイトル挑戦に迫ったが、永瀬がプレーオフで借りを返して挑戦権を獲得した。 永瀬の王将挑戦は4期ぶり2回目。藤井が王将を奪取する前のことで、二日制七番勝負で顔を合わせるのは初となる。過去の対戦成績は藤井から見て18勝7敗。タイトル戦で顔を合わせるのは第93期棋聖戦五番勝負(2022年)、第71期王座戦五番勝負(2023年)、第72期王座戦五番勝負(2024年)に続いて4度目。直近の王座戦五番勝負は角換わりの研究勝負となり、藤井が3連勝で防衛。シリーズを通しても内容で藤井が押しており、第3局は藤井の逆転術が光る、終盤での大逆転だった。しかしタイトル戦敗退でも調子を落とさず、しっかりと王将リーグに星を集めて挑戦を決めたのはさすがの安定感だ。 今期の藤井は棋士になって年度勝率が8割を初めて切る可能性がある。一般棋戦の優勝からも少し遠のいており、藤井としてはやや不調かもしれない。もっともタイトルを持ちながら8割を超えることは、歴史上でもほとんどないケースであり、現状で七冠を保持している棋士に対して不調は不適切な言葉かもしれないが...。 二日制では特に力を発揮しているが、先の竜王戦七番勝負では、挑戦者の用意してきた様々な作戦に苦戦を強いられていた。ただ、それでも中終盤の安定感は抜群で、2025年も第一人者の地位は揺るぐことはないだろう。 今回の七番勝負も同様に角換わりの研究勝負が本命と見るが、先述した通り二日制での対戦は初。藤井のやる事は変わらないだろうが、永瀬が長い持ち時間用の作戦を用意してくるかもしれない。小学生時代からのライバルである佐々木勇気八段が、竜王戦七番勝負で毎局戦型を変え、2勝をあげたシリーズがどのような影響を与えるか。 七番勝負は1月12、13日(日・月)に静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」にて開幕する。フルセットになれば3月末まで続く長丁場だ。永瀬としても王座戦に続いてストレート負けを喫するわけにもいかず、どのような準備をしてくるか。初の二日制での対戦に注目だ。 文=渡部壮大
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