もしトランプ政権になれば、「イスラエルとハマスの停戦」の可能性はある
トランプ政権になれば、いろいろと動き出し、停戦になる可能性はある
飯田)もともとは去年(2023年)10月に、ハマスが戦闘員ではない一般市民に対してテロ攻撃を行い、当時は国際社会も「イスラエルには反撃の権利がある」というような声明を出しました。しかし、現在は大きく変わりましたね。 山川)イスラエルは大義名分として「テロとの戦い」を押し通していますが、ここまでくると国際法上でも、とても認められる行為ではありません。ブリンケン国務長官が6回も中東に行き説得していますが、どう見てもバイデン政権が強くない。「話せばわかるだろう」という外交を行っても、それがイスラエルの政権に対してプレッシャーになっていない。ロシアやどこに対してもそうなのですが、いい意味での恐怖心がないから止められないのです。この局面がもし変わるとすると、1つは「もしトラ」とよく言われますが、仮にトランプ政権になった場合はいろいろ動き出す可能性があると思います。 飯田)トランプ氏もそうですし、娘婿のクシュナー氏はネタニヤフ氏と個人的に近しいという話もあります。 山川)クシュナー氏は「アブラハム合意」に貢献しました。簡単に言うと、イスラエルとUAEの国交を正常化するための合意です。クシュナー氏は、中東のなかでイスラエルの存在を認めさせたいわけです。中東にもいろいろな状況があって、イスラエルと国境を接するところはパレスチナ人に対するシンパシーが強いのですが、少し離れているサウジアラビアやUAEに関しては、そこまででもないのです。 飯田)そこまでシンパシーが強くない。 山川)特にいまイスラエルとサウジアラビアは、国交を正常化させ、距離を縮めるかどうかがいちばんのポイントになっているので、仮にトランプ政権になった場合、パレスチナ人を犠牲にするような形で停戦の方向に持っていくかも知れない。サウジやUAEなど、いろいろなものを巻き込んで、イスラエルにも多少優位な形で停戦に持っていく可能性はあります。