ストリーマーの間で『VRChat』が流行? 星街すいせいにはちょっとした“アップデート”も
■やみえんも、けんきも上陸 ストリーマーが続々『VRChat』をプレイ 先日から続く“スタンミ旋風”が、また一つ新たな局面を産み出した、かもしれない。『VRChat』にストリーマーが集まり始めている。まず、少し前に企画実施を発表したストリーマー・やみえんが、8月4日に『VRChat』配信を実施した。それも、ワンオフアバターの発表つきだ。この姿は「やみえんV」と称するものの、いわゆるVTuberではない点がポイントだ。 【画像】「やみえんV」とストリーマー・やみえん 実力派VRoidデザイナー・LUCAS(リュカ)が手掛けたアバターを引っ提げ、ちょうどこの日閉会を迎える『バーチャルマーケット2024 Summer』会場を歩き、目玉コンテンツであるレイドバトルも体験。VRヘッドセットは『Meta Quest 3』を使用しており、初回からかなりしっかりと遊んでいた印象だ。この勢いが、8月12日の企画実施にどうつながっていくか、注目したい。 プロゲーマー出身のストリーマー・けんきも『VRChat』を遊び始めている。いまのところ、大勢の人々とゲームワールドで楽しげに遊ぶ配信が主だが、こうした「ケの日の遊び方」を示す配信がどんな影響をもたらしたかは、スタンミの足取りが示している。過去には個人勢VTuberの知名度を引き上げるきっかけも作り出した注目のストリーマーだけに、今後どのように『VRChat』を楽しんでいくか、気になるところだ。 そして、この流れを作り出したスタンミ当人はというと、先週も『VRChat』を満喫していた。「PC専用ワールドに一緒に行きたい」という理由でPCを提供するに至った友人の所場(トコロバ)とともにホラーワールドで右往左往したり、既存ユーザーにもなじみ深い名物宇宙人アバターユーザー・ニックと遭遇したりと、とにかく撮れ高に恵まれている。配信の視聴者数も非常に好調だ。 このほかにもストリーマー・まるたけなど、ちょくちょく『VRChat』配信をスタートさせる人(あるいは、復帰してきた人)が見られ始めている。8月に入って、配信者と『VRChat』を取り巻く環境はどのくらいまで大きくなるだろうか。 ■『KAMITSUBAKI STUDIO』のTHINKRが独立 Brave groupにも新規展開 『KAMITSUBAKI STUDIO』などを手掛けるTHINKRは、8月1日に総額約50億円のシリーズAラウンドの資金調達実施と、エイベックス・グループからの自己株式取得による独立を発表した。ビジュアルアイデンティティも刷新し、新たな経営体制のもと「総合的なバーチャルエンターテインメント事業」を積極的に仕掛けていくとのことだ。国内有数のバーチャルアーティストを輩出した企業が、今後どのように拡大を続けていくかは、業界全体も注視していそうだ。 同様に拡大を続けるBrave groupの米国拠点・Brave group USは、海外VTuberグループ『idol』の事業買収・経営統合を実施した。昨年12月に業務提携契約を結んでいた急成長グループだったが、さらに一歩踏み込んだ体制となった。4カ国5拠点と、積極的なグローバル展開を進めているBrave groupだが、ここにきて米国に大きな足がかりを得ることになる。 そしてBrave groupの国内動向としては、RIOT MUSICによる新プロジェクト『RIONECTION』始動が挙げられる。SNS運用やグッズ制作、楽曲制作や自社スタジオ利用など、すでに活動中のVTuberの活動をサポートするプロジェクトであり、ローンチ時点で9名の参加が発表されている。類似する展開は過去にも業界で見られており、その進展には苦楽ともに見られる印象だが、RIOT MUSICのお手並み拝見といきたい。 ■ホロライブ・ReGLOSSがコミカライズ化 星街すいせいは肩書をちょこっと更新 業界動向以外のトピックだと、ホロライブ方面でいくつか気になるものがある。まずひとつは、hololive DEV_IS所属ユニット・ReGLOSSのコミカライズ作品『ReGLOSS ―BadでGoodな日常―』が発表されたことだ。 ホロライブのメディアミックス展開は事例が多く、ユニット単位のコミカライズでは6期生を題材にした『ホロックスみーてぃんぐ!~holoX MEETing!~』が挙げられる。興味深いのは、掲載誌が少女向けの『Sho-Comi』であるところか。とはいえ、『ちゃお』の読者層である女子小学生が好きなVTuberの1位と3位にホロライブタレントがいることを思えば、そこまで不思議な展開ではないかもしれない。 もうひとつ。一件地味なトピックではあるが、星街すいせいの肩書が「アイドルVTuber」から「バーチャルアイドル」に更新されたことに触れたい。その理由は「さまざまな媒体に出演する際に、VTuberと名乗ることに違和感を抱いた」とのことで、本人による自己申告で変更されたようだ。 YouTubeにとどまらず、より活動の幅を広げていくにあたって、より“ちょうどいい肩書”へのリニューアルをおこなった……といったところだろう。「自身の在り方を示すことば」のアップデートは、長く生きてきたバーチャルタレントたちにとって必要なメンテナンスだ。
浅田カズラ