政治改革、着地点見えず 与野党、全面公開で初協議 自民、企業献金禁止に否定的〔深層探訪〕
政治資金規正法の再改正を巡る与野党7党の協議が26日、始まった。少数与党の石破政権が目指す「年内決着」には幅広い合意形成が必須。野党の要求を受けて議論を全面公開するなど、自民党は柔軟姿勢を示した。ただ企業・団体献金など各党の主張は隔たりが目立つ。28日召集の臨時国会での着地点は見えていない。 【ひと目でわかる】政治改革・各党のスタンス ◇異例ずくめ 「例外的だがフルオープンで開催した。開かれた場で理解を深め、審議に向けた認識の共有が進むと考えている」。自民の渡海紀三朗・政治改革本部長は各党の代表者を相手に低姿勢に徹した。この後、1時間超にわたり各党が順に政治改革案を説明した。 与野党の政策協議は冒頭のみが報道陣に公開され、その後は非公開で行われることがほとんど。与党が法案提出前に野党各党との意見調整に乗り出すのもまれだ。異例ずくめの協議は、「熟議と公開」を条件にした立憲民主党などに自民が歩み寄らざるを得ない苦境を示している。 各論では与野党の違いが浮き彫りとなった。最も溝が深いのは企業・団体献金だ。立民、日本維新の会、共産党、れいわ新選組は「禁止」で足並みをそろえ、公明党は「専門家の意見も拝聴しなければならない」(西田実仁幹事長)と慎重な検討を求めた。自民の渡海氏は具体的な見解を示さなかったが、協議後、記者団に「党内の議論で『やめろ』という人は1人もいなかった」と禁止に否定的な姿勢を見せた。 使途が不透明だとして批判が強い政策活動費については全党が「廃止」を打ち出した。ただ、自民は外交上の秘密に関わる支出などは「公表の仕方に工夫がいる」とし、一部非公開が望ましいと説明。維新の藤田文武幹事長は「シンプルに廃止する」と異論を唱え、公明の西田氏も「機微に触れる使い方があるのか、想像がつかない」と自民案に疑義を示した。 政治資金を監視する第三者機関は、国会に設置するのか、行政府に置くのかなど具体的な制度設計で綱引きが展開されそうだ。国民民主党の古川元久代表代行は「極めて広範な権限を持った独立体制」を主張した。 ◇野党が主導権 規正法改正案を審議する衆院政治改革特別委員会の委員長ポストは立民議員が就いており、主導権は野党が握りそうだ。立民の野田佳彦代表は「特別委で野党案を提示し、審議したい」と述べており、主戦場は「国会審議」との考えを示す。共産の塩川鉄也国対委員長は、自民派閥裏金事件の解明に向け、関係議員の証人喚問や政治倫理審査会出席が「前提」だと強調した。 維新の藤田氏は年内の法改正の必要性を訴えたものの、12月1日の代表選次第で交渉当事者が変わる可能性に言及した。国民民主も含め野党側は来年夏の参院選を意識し、世論の反応も見ながら自民に譲歩を迫る方針だ。 今後の協議日程は決まらなかった。渡海氏は「次回(の開催)についてはまた相談させてください」と初会合を締めくくった。