ドラマ『Eye Love You』について二階堂ふみがどうしても伝えたかったこと(前編)
「ちいさな成長」こそが共感を呼ぶ
──いっしょに会社を立ち上げた花岡役の中川大志さん、真尋役の山下美月さんについても聞かせてください。 二階堂 中川大志くんは現場で安定感のある方でしたね。短いシーンであっても、侑里と花岡の長い関係に説得力を感じさるお芝居をしてくださっていました。そのためのプロセスとして本当にいろんなことを話して作ってくださる方でもあったので、頼もしかったです。山下さんは今回、いちばん心強い方でした。現場でどしっといてくださって、本番では演じる真尋のペースで侑里を巻き込んでいってくださった。御本人はすごくカラッとしている方だったので、現場でご一緒していてすごく楽しかったですね。またひとり、いい俳優仲間と出会えたなと思いました。 ──父親の誠(立川志らく)とのシーンは、侑里の特殊能力がいちばん発揮される部分でありながら、シンプルに父娘の愛情が伝わってきます。 二階堂 事故で動くことができなくなった誠さんとのシーンでは、「コミュニケーションは言葉だけじゃないところもあるんだな」とすごく感じます。志らくさんのお芝居にハッとさせられるところもたくさんあって。表情も体も動かしていない、本当に言葉だけなのに、やっぱり落語家の方だからか、その言葉に乗っている感情がすさまじいんです。第一声で「侑里」と名前を呼ばれたとき、誠さんの優しさを感じてあたたかい気持ちになりましたし、「こういう優しさをずっと感じ続けてきたから、侑里は人に優しくありたいという気持ちを大事にすることができたんだろうな」と思えたんですよ。誠さんは、人としても達観していてかっこいいんですよね。 ──改めて、そんなキャストに囲まれながら二階堂さんが演じた侑里という役柄について教えてください。 二階堂 侑里さんはちいさな成長を続けているキャラクターだなと思っていました。それは物語の中で劇的な変化ではないんだけれど、人はそれぞれのペースで進んでいけばいいんだなと思えて、身近に感じられるキャラクター。私自身、侑里のちいさな成長に救われたり、勇気をもらったりすることがたくさんありました。いまの自分にすごく必要なキャラクターだったんだなと感じています。 ──必要なキャラクター。よくある質問ですが、自分と似ているところも? 二階堂 侑里と似ているところは、食べ物に固執するところかもしれない(笑)。最初の頃、ちょっとシャープにしようと思ってダイエットをしていたんです。そしたら志らくさんからお団子の差し入れがあったと伺って、「1本だけ食べよう」と決めたんですね。私は別の部屋にいて作業があったので、マネージャーさんに「どの味があるかを持ってきていただきたい」とお願いしたら、3種類持ってきてくれたんです。「じゃあこれかな」と思って食べた後、現場に行ったら6種類あったんです! その、私が知らなかった味の中にいちばん食べたいやつがあった。その時は「ぎゃー!」となりました(笑)。 *後編は後日公開。