“逆輸入”された星つき割烹〈瑞兆〉で、日本の旬材を用いた革新的割烹料理を体験!
お椀の“焼白子の半田素麺”では、濃厚ながらもまろやかな白子に、太くて喉越しのよい半田素麺を合わせた。
お造りは“めじまぐろ 甘鯛昆布〆”と“安肝旨煮”。前者は、あっさりとしていながらも旨味があるメジマグロと、昆布で〆ていて輪郭がはっきりとした食味の甘鯛。松笠にした甘鯛の唐揚げも添えられており、いい変化になっている。
鮟肝はとてもクリーミーな食感で、日本酒にぴったり。
セルクル型を巧みに用いた押し寿司も印象的だ。“キャビア まぐろ うに”は、下層から順番に、酢飯、マグロ、雲丹、キャビアが重ねられており、トップには華やかな花穂紫蘇を飾る。エシャロットやミョウガの鮮やかな風味も出色だ。最初はキャビアの食味を損なわないシェルスプーンで食し、後半は香り高い海苔と一緒に合わせるといい。
“松葉蟹豆乳鍋 京揚げ わわさい つきこん 聖護院蕪”は、滋味に溢れた鍋物。豆乳鍋はクリーミーながらも軽やかな味わいで、松葉蟹のほぐし身が潮の上味を加えている。小さい白菜の“娃々菜(わわさい)”と聖護院蕪が実に甘く、京揚げとつきこんにゃくの弾力もいい。
“雲丹と本鮪たたき”は鮨店のように手巻きを手渡しするスタイル。パリっと焼いた海苔に、たたいた本鮪を巻き、たっぷりの雲丹がトップにのせられる。鮪の旨味と雲丹の濃醇さが複雑に絡まりあって、多面的な味わいを醸し出す。
メインディッシュの肉物は“常陸牛サーロイン治部煮風 低温調理卵”。片栗粉では重たいので軽めの小麦粉をまぶしてから、軽くしゃぶしゃぶして、濃厚な卵を添えた。サーロインが卵黄に出合うと、コクが深まって、旨味に奥行きが増す!
〆の食事は土鍋で炊いた“鰤といくらの炊き込み御飯”。脂がのった鰤に、プチプチッとしたイクラが惜しみなく加えられており、妙妙たる味わいに満たされている。最初にそのまま食し、2杯めは南部鉄器で注がれた出汁と一緒にお茶漬けスタイルで味わうのが、〈瑞兆〉スタイル。