政府、闇バイト対策を決定 警察の「雇われたふり作戦」早期実施へ
政府は17日、犯罪対策閣僚会議を開き、「闇バイト」が絡んだ強盗などの事件防止に向けた緊急対策を決定した。警察の捜査員が身分を偽って闇バイトに応募する「仮装身分捜査」の早期の実施を明記。募集情報については、何が違法かを明確化し、SNS(ネット交流サービス)事業者による闇バイト投稿の削除の徹底を促す。 【図解】闇バイト、どんな募集に注意? 仮装身分捜査は、警察庁が「雇われたふり作戦」と名付け、導入の検討を進めていた。緊急対策では、現行法の範囲内で実施可能な在り方を検討し、指針などで明確化した上で、早期に実施すると盛り込んだ。 警察庁は今後、捜査のために偽の身分証を作製することは公文書偽造罪に該当せず、違法性が阻却されることを法務省などと協議。捜査員の安全を確保するための指針づくりも進め、仮装身分捜査を速やかに実施する考え。 「ホワイト案件」や「即日即金」といった闇バイト投稿の削除の促進も図る。何が違法な投稿かSNS事業者が判断に迷うケースがあるため、求人側の氏名や名称、住所、連絡先、業務内容、就業場所、賃金の表示がない募集情報は違法であると通知で明確化し、広く周知する。 こうした表示のない募集情報は、総務省が2025年5月までに定める「違法情報ガイドライン」で、職業安定法などに違反すると記載。そしてSNS事業者に対し、このガイドラインの記載内容を各社の削除基準に盛り込むように求め、削除の徹底を進める。 さらに、SNSのアカウント開設時における本人確認の厳格化もSNS事業者に要請する。現在はメールアドレスの入力のみで開設できるサービスもあるため、携帯電話のSMS(ショートメッセージサービス)による認証などを求める。 求人情報サイトを運営する事業者に対しては、求人の事前審査の厳格化などを要請する。 秘匿性が高い通信アプリ「シグナル」や「テレグラム」など海外に拠点がある事業者についても、国内の被害状況などの情報提供を検討していく。 今回の緊急対策は、SNSなどの事業者に対する強制力はない。 また、防犯カメラの増設が必要な場所の整理をするほか、交付金を活用した防犯カメラの整備促進にも取り組む。【山崎征克】