「現実はそんなに甘くない」開幕3連敗の裏で試行錯誤。Dリーグ最年少ディレクターKENSEIインタビューVol.3
今季で4年目を迎えたDリーグ。開幕から熱戦続きのリーグにおいて、今年から最年少の21歳でディレクターに就任したdip BATTLESのKENSEIは、パフォーマンスでも、その経歴でもひときわ異彩を放っている。ただ、dip BATTLESは今季開幕3連敗と苦しい幕開けになっている。「なかなか最初からはうまくいかない」とディレクターという新たな役割を担い、試行錯誤しているKENSEIに、今の心境と、これからのdip BATTLES、そしてDリーグについて話を聞いた。
「現実はそんなに甘くない」最年少ディレクターの苦悩
ーVol.2まででは、dip BATTLESに加入された後のお話についてお聞きいたしました。今回は今季とこれからのdip BATTLESについておうかがいできればと思います。 KENSEI:今季から、最年少のディレクター兼選手という形になったんですが、開幕から三連敗といきなり挫折というか。なかなかうまくいかないというか、現実はそんなに甘くないなと思っています。 ーどういう部分がうまくいっていないと感じていますか? KENSEI:今年のシーズンスローガンでもある「新時代をつくる」ということを体現しようというのがテーマでやってきて。ただ、自分たちの等身大から背伸びしすぎても、それはそれで見透かされてしまうだろうなと思ったので、自分の中で等身大を作品に落とし込もうとしてきたんですが、そこがあんまりうまくいっていないポイントですね。 自分の中では等身大と思うものでも、チームのメンバーからする等身大とはまた違うのかなと思っていて。そのメンバーの等身大を吸い上げて、作品に落とし込むという部分が全然できていないなと今は思っています。 ーディレクターという役割についてはどうですか? KENSEI:dip BATTLESは、メンバーそれぞれのダンスジャンルがバラバラで、個性が強いチームなんですよね。あと、若いメンバーも多いということもあって、まとめあげていくのがやっぱり大変で。個性が強いチームゆえに、爆発力みたいな部分はあると思うので、その良さをいかせるような作品を作っていければ良いなと思っています。 ー今年からディレクターも兼任する形になりましたが、そこについてはどうですか? KENSEI:ダンサーとしての自分と、ディレクターとしての自分を両立させるのはなかなか難しいなと感じています。自分がパフォーマンスをしないほうが見える部分もあるんじゃないかなとは思っていて。やっぱり自分がパフォーマンスをしていると、自分のことを見てしまいますし、メンバーの生のパフォーマンスを見れないという部分もあって。そして何より、ダンスに関しては準備期間にやることはいくらでもでてくるので、他のメンバーのことまで気が回らない部分はあると思っています。 ーなかなか難しいテーマですね。 KENSEI:ROUND6のときに、結果を待っている間、体が不安で硬直してしまったんですよね。これまでは、会場のお客さんに向けて手を振ったりとか、他のダンサー同様に振る舞っていたんですけど、ディレクターという立場にかわって、結果もでていない状況っていう中で初めての感覚を味わいました。自分の中ではうまくパフォーマンスできた、と思っているんですけど、それでも結果が出なかったらどうしようっていう不安に襲われましたね。 ー後半戦に向けて、今の現状をどう打開しようと考えていますか? KENSEI:一番は「ショー」として勝てるものを作らないといけない、っていうことですね。これまでは、ダンスや音楽にフォーカスした作品を作ってきたんですけど、後半戦ではよりエンタメ的な要素にフォーカスしていきます。。どうしても、ダンスの細かい技術だったりは、あれだけ広い会場となると、お客様やジャッジの方に楽しんでもらいにくい部分があると思っていて。作品のインパクトだったり、尖らせ方みたいな部分を突き詰めていければなと。とはいえ、インパクトだけでスカスカになってしまわないように、パフォーマンスもしっかり作り込んでいきます。 昨シーズン、ROUND12で、ステージを半円状に囲んでペットボトルをまわして、キャップ側が向いた人が即興でソロでダンスをするっていうパフォーマンスをやったんですけど、そのROUNDをスイープで勝つことができて。いろんな人にそのパフォーマンスを楽しんでもらえたんですが、きっかけはスタジオ内の遊びだったんですよね。そういうお客さんにも楽しんでもらえるような遊び心を仕込んでいければなと思っています。