豪華客船の船内って実際、どうなってるの?「ウエステルダム」の船内に潜入してみた
ホーランドアメリカラインの豪華客船「ウエステルダム」プレス向けの船内見学会に行ってきました。どれくらいゴージャスなの? 部屋の広さは? ネット回線ってどんな感じ? 【もっと写真を見る】
豪華客船で優雅なクルーズ旅というのは、旅人にとって憧れの旅スタイルのひとつ。今回は、そんなクルーズ旅を提供しているホーランドアメリカラインの客船「ウエステルダム」でプレス向けの船内見学会がありましたので、その様子をレポートします。 ホーランドアメリカラインとは、150年以上の歴史をもつクルーズ会社です。現在の本社はアメリカシアトルですが、船籍はすべて創業地にちなんでオランダにしているそう。今回見学したウエステルダムのほか、合計11隻でフリート(船団)を形成しています。 ウエステルダムは総トン数8万2350gt(グロストン)で、全長約285m、幅32m。乗客デッキは11階と、近くで見ると圧倒される大きな船です。乗客数は1964名(客室数982室)。最近は乗客6000名規模の巨大な船を運航しているクルーズ会社もあるため、船のサイズとしてはこれでも中型なんです。 ちなみに、ホーランドアメリカラインは、船のサイズごとにピナクルクラス(約9万9800トン)、シグニチャークラス(約8万6000トン)、ビスタクラス(約8万2300トン)、Rクラス(約6万1000トン)と4つのクラスに分けられていて、ウエステルダムは3番目のビスタクラス。また、ビスタクラスには「ウエステルダム」、「オーステルダム」、「ノールダム」、「ザイデルダム」と4つの姉妹船があり、それぞれオランダ語の東西南北を元にしたネーミングになっています。 「洋上の美術館」とも言われる ウエステルダムに展示された美術品 船内に入ってみるとなにやら高級感を感じます。というのも、船内各所に絵画や彫刻が飾られているから。しかもホーランドアメリカラインは、オランダの国立美術館とパートナーシップを提携しており、飾られている美術品は多くが実際に美術館で飾られているものと同じ精巧なレプリカ。「洋上の美術館」とも言われており、クルーズ中に船内を美術館のように歩いて見てまわれるといった楽しみがあります。 (次ページ:客室は85%が海側に面したベランダ付き) 気になる客室は6タイプ! 85%が海側に面したベランダ付き ウエステルダムの客室は船の中央部分にあり、窓の無いいちばんコンパクトな内側客室から海側客室、ベランダ客室、シグネチャースイート、ネプチューンスイート、ピナクルスイートの6タイプ。内側船室をのぞく80%が海側に面しており、多くがプライベートベランダ付きとなっています。いずれの船室もベッドマットが35cmと厚みがあって寝心地が良く、長旅でも疲れなさそう。また海側客室より上のタイプの部屋にはバスルームにバスタブが設置されています。最近はアッパークラスの部屋でもバスタブの無い客船が多いため、日本人にはうれしい設備です。 ノートPCを広げて作業も可能 115Vコンセントや充電ポートも それぞれの客室にはパソコンが広げられるサイズのデスクがあり、日本と同じコンセントタイプ(115V)が用意されていました。USBもType-Aの充電ポートがあるので、スマートフォンなどにケーブルだけで給電できます。 最近、筆者は海外でドミトリーや安宿ばかりに泊まっているので、コンパクトな内側客室でも十分な広さです。もちろん、窓のある海側客室以上のほうが航行中の様子なども見られるのでさらに快適ですが。逆にスイートは広すぎるくらいで、ひとりでは落ち着かないかも、と思ったり。 (次ページ:複数のプールや巨大シアターがある) 複数のプールや巨大シアターがあり 演奏会やショーが毎晩開催される そもそも、コンパクトな客室でも十分満足できそうと思えるのは、船内設備が充実しているから。船首から雄大な景色を眺めながらリラックスできるラウンジ「クロウズネスト」をはじめ、全天候型のプール「リド・プール」、専門スタッフが常駐している「フィットネスセンター」、サウナなどがある「グリーンハウススパ&サロン」など、利用したくなる設備がたくさんあります。もちろん豪華客船ならではの大型シアターや、カジノなどもあります。 クルーズでは、こういったさまざまな施設が利用できるほか、各所でイベントが開催されます。ウエステルダムには「ミュージックウォーク」と名付けらたステージが3ヵ所あり、それぞれのステージでジャンル別の演奏会などが開かれます。寄港地に到着すれば、外出して現地ツアーにでかけることもできるため、実は部屋で過ごす時間は意外に少なかったりするんですよね。なので、快適に眠れるベッドさえあれば、コンパクトな客室でも十分だなと思えるわけです。 (次ページ:設備利用も食事も無料、気になる通信環境は?) 設備は利用無料、食事も無料なので 滞在時間の割にコスパが良い 豪華客船での船旅と聞くと、料金はめちゃくちゃ高いのではと思われますが、実は旅としては意外にコスパが良かったりします。その理由のひとつは、プールなど多くの船内設備が無料で使えることに加えて、滞在中の食事は基本的に無料だからです。3食ともメインダイニングで、ディナーではコースから選択できるなど、飽きずにおいしい料理が楽しめます。 メインダイニングのほかに、夜食も提供しているビュッフェスタイルのレストラン「リド・マーケット」があり、プール近くにはピザやハンバーガーなどを提供している「ダイブイン」があるため、はっきり言えば、起きている時間はいつでもなにかしら食べることができる状態です。これだけの食事を旅先で普通に体験しようとすると、かなりの料金になってしまうので、結果的にはコスパが良いというわけです。 ちなみに、2025年3月16日に日本を出発して、日本国内と韓国4都市を15日間で回るプラン(ホーランドアメリカ/ノールダム)の場合、販売代理店によって価格は変わりますが、旅行代金は大人1名(2名1室利用・諸税、船内チップ別)で28万8000円~となっています。さらに諸税やチップが、現時点で793ドルほどかかるのでプラス12万円ほど。また、後述しますが、ドリンクやインターネット接続が利用できるパッケージ「Have it all」を付けると1泊55ドルなので、そこに12万円ほどプラスされます。 トータルだと53万円弱で価格としては高く感じるかもしれませんが、1日あたり3万5000円ほどです。宿泊代と食事代、移動費や船内でのアクティビティ代を合わせた価格と考えると、かなりコスパがいいですよね。もちろん"年に何回も海外に行きたいから旅費は極力抑えたい"といったスタイルの人には高いと感じるかもしれませんが、"数年に一度、時間をかけてラグジュアリーな旅をしたい"という人にはオトクに感じるはずです。旅のスタイルは人それぞれですからね。 気になる通信環境はStarlink 高速Wi-Fiパッケージもあって安心 さて、前述したパッケージ「Have it all」ですが、これには11ドル以下のドリンクが1日15杯まで飲める「シグネチャー・ビバレージ・パッケージ」、メールのほか一般的なウェブブラウジングが利用可能な「Wi-Fi SURFパッケージ」、寄港地での現地ツアー料金に充当できる「寄港地観光クレジット」が200ドル分(10~20泊クルーズ)と、メインダイニングよりもハイクラスで席料が必要となるスペシャリティ・ダイニングが2回(10~20泊クルーズ)ぶん含まれます。このパッケージ、単体でそれぞれ頼む場合、1泊100ドル以上かかるので、ホーランドアメリカのクルーズを申し込む場合は必須と言えるパッケージです。 特にASCII読者のようなテック好きの人なら、Wi-Fiパッケージは必要不可欠ですよね。ちなみに客船のWi-Fiインターネットサービスというと、以前までは料金は高い割に低速でしかも容量制限があったりして使いにくいというイメージでしたが、最近はかなり改善されてきています。特にこのウエステルダムでは、通信設備をStarlinkに昨年変更しています。 Wi-Fiでのインターネット接続は同時に1台までですが、通信品質には定評があるStarlinkの回線なら、インターネットにつながっていないと干からびてしまう筆者のような人でも、安心して乗船できるでしょう。 もちろん港に停泊中や、沿岸を航行中のときはその国のモバイル通信もキャッチできて、スマートフォンなどでインターネット接続が可能です。ですが、客船って鉄の塊でできているので、船内にいると外からの電波をキャッチしにくいんですよね。窓に近いところやオープンスペースはまだマシですが、船内中心部はかなり厳しいのも事実。なので、Wi-Fiでのインターネット接続サービスは必須です。 「Have it all」には早期予約ボーナスも 船内で動画サービスを見たいなら予約必至 また、この「Have it all」には数量限定の早期予約ボーナスも用意されていて、事前予約しておくと、料金は同じでもドリンクパッケージは15ドル以下の飲み物が15杯/日までの「エリート・ビバレージ・パッケージ」に、インターネット接続は「Wi-Fi PREMIUM パッケージ」にアップグレードされ、船内チップの基本料金も無料となります。 「Wi-Fi PREMIUM パッケージ」は動画サイトなども利用できるプランなので、ネットヘビーユーザーにはうれしいところ。豪華客船のプールサイドに寝転んで、カクテルを飲みながらタブレットでNetflixの動画を視聴なんてことができるわけです。ホーランドアメリカラインのクルーズを申し込む際には、「Have it all」の事前予約は絶対ですね。 以上がホーランドアメリカラインの豪華客船「ウエステルダム」のレポートでした。ホーランドアメリカラインは、氷河やアラスカの動物・大自然を体験できるクルーズに力をいれています。世界中旅をしている筆者もアラスカは未踏なので、ホーランドアメリカラインのツアーでアラスカに行ってみたくなりました! この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama) 世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。 「旅人ITライターさとる」(IT系メイン) 「さとる・たべる・あそぶ」(旅行・エンタメ系メイン) 文● 中山智 編集●こーのス