R34型スカイラインの新解釈が美しい!!! 艶やかなスポーツセダンに昇華した1台に迫る
2024年1月12日から開催された「東京オートサロン2024」(千葉県・幕張メッセ)では、日産グループである学校法人日産学園 日産・自動車大学校の学生が制作したクルマがどれも斬新だった。かつてのR34型スカイラインを新解釈した1台を、小川フミオがリポートする。 【写真を見る】アドニス・スカイラインの細部など(35枚)ベースモデルとの違いをチェック!!!
美しいドレスアップ
日産愛知自動車大学校の生徒たちが手がけ、東京オートサロン2024に出展されたのが「Adonis SKYLINE(アドニス・スカイライン)」だ。R34型スカイライン(1998年~2002年)をベースに、美しいクルマを仕上げようと製作されたモデルだ。 日産グループの学校法人日産学園 日産・自動車大学校は、整備士や板金などさまざまな技能を勉強する場。当然、学生のほとんどはクルマ好きだ。今回の出展車両は、クルマ好きの20代をターゲットに想定し、自動車整備・カーボディマスター科で学ぶ学生たちが作りあげた。 R34型スカイラインは「ボディは力だ。」という宣伝コピーとともに販売されていたモデル。このときメーカーが言っていた“ボディ”とは剛性のことのようで、走りのためにボディ剛性を引き上げたのが、大きな特徴のひとつだった。 いっぽう、低めのノーズからハイデッキタイプのトランクまで続くクサビ形のボディラインが印象的だったR34型。当時は、まだR32型スカイラインの印象が強烈に脳裏に焼き付いていただけに、クリーンだけど、もうすこし情感があってもいいのでは? なんて感想を抱いた自動車ファンもいたようだ。私は好きだったが。 アドニス・スカイラインは、オリジナルの持っているデザインコンセプトをうまく活かす方向で手が入れられている。ボディを5cmワイド化するとともに、エアロパーツを装着。トランクリッドには、かなり大きめなスポイラーがそそり立っているものの、全体としてはドイツ車を連想させるような美しいドレスアップだ。 とくに印象的なのはボンネット。「スケルトンボンネット」と、名付けられているとおり、なんと一部が透明化されていて、エンジンが見えるようになっている。大変ユニークな試みだ。 「アドニスホワイト」なる白色でまとめられた端正なボディは、そんなに劇的な演出がほどこされていないブースでも来場者の目をひいていて、「これはどんなクルマですか、おもしろいですね」と、声をかけていく人の姿も見受けられた。 製作の中心は3年生(20歳中心か)というので、新車でR34型を見た経験がないはずで、R32型からR33型、そしてR34型へと続く歴代スカイラインの流れもリアルタイムで把握していない(はずだ)けれど、だからこそ、新しい解釈で作り上げられたのだ。多くの人がGT-Rに引っ張られてしまうのはむしろ、当時をリアルタイムで知っているからかもしれない。 ちなみにアドニスはギリシア神話に登場する美少年で、アプロディーテーとペルセポネというふたりの女神が奪い合いをしたという物語に登場する。この名を選んだのもおもしろい発想だ。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)