「このままでは危ない」と業者に言われ…地震に便乗した詐欺の手口と対処法
1月1日に発生した能登半島地震に便乗した商法や詐欺とみられる相談が、全国で確認されている。国民生活センター(東京都)によると、義援金詐欺の他、家屋を点検して必要のない補修工事を売り込むといった手口がある。同センターは「地震や大雨などの災害時には、混乱や被災者を支援したいという気持ちにつけ込み、それに便乗した悪質商法が発生する」と注意を呼びかけている。(松沢佳苗)
便乗商法とみられる相談、全国各地で
国民生活センターによると、能登半島地震に関連する商法などの相談件数は全国で174件(1月21日時点)あった。住宅の修理や保険、義援金や支援品に関する相談など内容はさまざまだ。
四国地方のグループホームには、若い男の声で「市が能登半島地震の義援金を集めている」といった内容の電話があった。携帯電話からの着信だったこともあり、不審に思った職員が「別に義援金を送っている」と返答して拒否。その後、市に「義援金の窓口になっているのか」「電話で義援金を募ることはあるのか」と問い合わせ、そういった事実はないと分かった。
また、関東地方の60代女性には「元日に起きた地震の地域に送る物を集めている。今日そちらの地域を回っているので訪問していいか」と電話があった。「会社なので支援品を集めて送ることができる」と説明されたが、怪しいと思い、断ったという。
国民生活センターは「地震に便乗した不審な電話はすぐに切り、義援金は確かな団体を通して送ってほしい」と注意喚起している。
長野県内でも点検商法 「地震もあったし…」と不安に
長野県くらし安全・消費生活課によると、県内の消費生活センターには震災に関連しているとみられる相談が1月12日までに3件あった。
このうち50代以上の男性は、自宅を訪問してきた見知らぬ業者に屋根の補強工事を勧められた。男性は「地震もあったし…」と心配になり、業者に屋根を見てもらった。すると、業者は「補強が必要」と言い、男性は工事の契約をした。その後、男性はもっと慎重に検討すべきだったと思い直し、クーリング・オフについて消費生活センターに相談した。同課は「いわゆる点検商法。見知らぬ人を家に入れたり屋根に上らせたりするのは避けて」と訴えている。