大阪「海遊館」売上高100億円で絶好調、《日本一の水族館》へ成長を遂げた「大阪ならではの理由」
テーマパーク市場が大盛況のなかで
夏の行楽シーズンを前にして、遊園地やテーマパークのさらなる活況が期待されている。東京ディズニーリゾート(TDR)やユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は言わずもがな、ここへきて、とある「水族館」がその存在感を高めている。 【写真】中国人観光客が、日本の電車・バスに「感動している」意外なワケ 大阪にある、1990年開業の“世界最大級”水族館、海遊館(大阪市港区)だ。 経済産業省「特定サービス産業動態調査」によれば、「遊園地・テーマパーク」の売上高は、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた'20年には2638億円まで落ち込んでいた。しかし徐々に回復し、'23年には8441億円と、コロナ禍前の水準を上回る過去最高額となった。 市場全体が活気づくと共に、海遊館も驚異的な売上を叩き出している。 運営元の近鉄グループHDが今年5月15日に発表した'24年3月期決算によれば、「ホテル・レジャー」部門は増収増益を達成している。同部門はホテル・旅行・映画・水族館・観光施設の5つに細分化されるが、売上高および営業利益の増加率が最も高かったのが、「水族館」だった。
著名な「水族館請負人」が設計
近鉄グループHDが運営する水族館は、海遊館と'15年にオープンした「生きているミュージアム ニフレル」(大阪府吹田市)のみ。それだけで、売上高は100億円の大台に肉薄する99.4億円、営業利益は35.6億円を達成している。 海遊館は旅行口コミサイト『TripAdvisor』で「アジアNo.1の水族館」に選ばれたほか、外国人観光客向けガイドブック『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で2つ星を獲得したことも有名だ。 ではなぜ、全国に数ある水族館の中で、海遊館は高い人気を保持しているのか。動物園・水族館コンサルタントの田井基文氏が解説する。 「私も大阪出身なので、'90年に海遊館がオープンした当時を印象深く覚えています。すでに江ノ島水族館(東京)、サンシャイン水族館(同)、鳥羽水族館(三重)などがあり、前年には葛西臨海水族園(東京)がオープンするなど、水族館はたくさんありましたが、これだけの『大型水族館』は類を見ませんでした。 設計者は『水族館請負人』ことピーター・シュマイエフ氏。彼がデザインした水族館はどこも来場者数が右肩上がりになることで有名でした。環太平洋の海を再現した、ジンベエザメが泳ぐ巨大水槽は迫力があり、特に人気を呼びました」