「今泣いてちゃダメだ……」惜別、苦悩、そしてリベンジ。“モナコの呪い”打ち破ったルクレールの母国GP制覇への道のり
ようやく掴んだ母国での勝利
2023年シーズンは、最速のレッドブルとマックス・フェルスタッペンのコンビにフェラーリ勢は敵わず。シーズンで唯一勝利のチャンスが訪れたシンガポールGPを制したのは、ルクレールのチームメイトであるカルロス・サインツJr.だった。 しかし2023年からチーム代表に就任したフレデリック・バスールの下、フェラーリは改善を続けた。2022年モナコでの痛みを糧に、今年のモナコではパズルのピースが全て上手くはまった。 ルクレールはフェラーリSF-24を武器に、予選でポールポジションを獲得すると、稀に見るタイヤマネジメントレースとなった決勝でも隙のないドライビングで首位を快走した。 ついにトップチェッカーを受けたルクレール。長年のフラストレーション、思い出が溢れ出し、無線で叫び声を上げた。そしてマシンを止めた後、クルーやバスール代表、アルベール2世の腕の中に飛び込んだ。 モナコGPでモナコ人が優勝するのはルイ・シロン以来93年ぶり。1950年にF1が世界選手権として誕生してからは初の出来事だった。 「2度もポールポジションからスタートしながら、なかなか表彰台に上がれなかったという事実が、ある意味、余計に良かったのかもしれない」 ルクレールはそう語った。 「僕は呪いを信じたことはない。でも、(ポールポジションを獲得した)2回のレースではここで勝たなければいけないと、いつもとても厳しく感じていた」 「そのうち1回はレースをスタートすることすらできなかった。2回目は正しい判断ができなかった。勝利を逃したことを、とても、とても悔しく思っていた」 「ドライバーというのは、次にいつ勝つチャンスが訪れるか分からないモノだ。特に自分のホームレースであるモナコは、全てを完璧にこなすのが難しく、レース週末も難しいんだ」 レース前は緊張していたと明かしたルクレールだが、プレッシャーを感じないためにできることは全てやったという。