固定資産税の「評価方式」見直しを東京都が検討 その背景は?
「固定資産税」の課税ミスが相次いでいます。例えば、2014年には埼玉県新座市で固定資産税を滞納していた夫婦の自宅が差し押さえられ、公売にかけられました。しかし、公売後に固定資産税の過徴収が発覚したのです。こうした課税ミスは他の自治体でも頻発。一昨年には高市早苗総務相が懸念を表明し、総務省も指導を強めるなどしています。それでも固定資産税にまつわるミスは続いているのが現状です。 固定資産税の評価方式は、とても複雑で時間がかかるといわれています。そんな中、東京都は迅速な評価額算出を目指して評価方式の見直しを検討し始めました。
複雑な「家屋」評価、決定まで1年以上もザラ
課税ミスが相次ぐ理由は、なによりも固定資産税のシステムが複雑だからです。 固定資産税は、所得税や法人税のような納税者が申告する「申告納税方式」ではなく、市町村(東京23区の場合は東京都)が税額を決定して納税者に通知する「賦課課税方式」を採用しています。そのため、税額に誤りがあっても納税者が気づきにくいのです。明るみに出た過徴収も、氷山の一角にすぎないとの見方も強くあります。 課税対象になるのは、宅地や山林といった「土地」、住居や店舗、工場といった「家屋」、ブルドーザーやボート、工場の製造ラインで使っている作業用の機械などの「事業用償却資産」(自動車税・軽自動車税の対象は除く)です。 「土地」は9種類の地目に区分され、そこから固定資産路線税価を設定します。その税価から面積をかけたものが土地の評価額です。これだけでも、納税者は頭が痛くなるような複雑さですが、家屋はさらに複雑です。 「家屋の評価額は家屋の構造から資材の点数、その材質にいたるまで確認して決定しています。そのため、図面段階からチェックし、確認作業で現地にも足を運びます。チェック項目は500以上あるので、時間も手間もかかり、家屋の評価額を決定するまでには1年以上かかることは珍しくありません」(東京都資産税部固定資産評価課)