中国、イエレン氏歓待でも政策変えず-過剰生産能力の解消は市場次第
(ブルームバーグ): 中国政府の製造業振興は他国経済への脅威だというメッセージを発したイエレン米財務長官だが、訪問先の北京と広州では温かいもてなしを受けた。だが、同長官が望む中国の政策転換にはつながらない公算が大きい。
イエレン長官は8日、4日間の訪中を締めくくる記者会見で北京で行い、中国の過剰生産能力について「解決策を見つけなければ、米国の労働者や企業に悪影響を及ぼしかねない重要な問題だ。ここでの私の仕事は、この問題を徹底的に説明し、中国指導部の最高レベルにこの懸念を示すことだ」と述べた。
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中国指導部は最近、一部産業における過剰生産能力に対し警告を発した。しかし、大規模な消費刺激策や製造業の抑制を伴う経済政策の転換を必要とせず、時間の経過とともに市場の力によって問題が解決されると考えているようだ。
コンファレンスボード中国経済ビジネスセンター責任者のアルフレッド・モントゥファーヘル氏は、「過剰生産能力が問題だと認識している」中国指導部だが、国内企業の利益を損なうような安価な製品の販売といった「裏の意図を抱いているとは思えない」と言う。
製造業を刺激する政策が撤回される可能性は低い。その理由は、そうした政策を進める2つの重要な要因、つまり中国の不動産市場低迷と米国のテクノロジー規制が続いているためだ。中国によるテクノロジー自立の追求は「地政学的な状況を考えれば、今後も続く」というのが同氏の見方だ。
中国財政省の廖岷次官は8日の記者会見で、過剰生産能力の解消は市場次第だと述べた。これは、中国が倒産や合併といったメカニズムを通じて不採算企業を排除することが問題解決につながると考えていることを示唆している。
危うさ
廖次官はまた、イエレン長官が指摘するソーラー・電気自動車(EV)業界の生産能力過剰についても反論。「現在の生産能力は、市場の需要、特に多くの途上国における新エネルギー製品に対する巨大な潜在需要を満たすには程遠い」と語った。