仰天事実発覚!日大第三者委員会は意図的にアメフット専門家を加えなかった
関東学連は、日大、関学の当事者の聴取だけでなく、映像の実に細かい分析、当日のスタンドにいたファンの証言、当日の試合を裁いた審判の証言、通信記録、各種の音声データまで集めて多角的に調査していた。これらも規律委員会がアメフットの経験者で構成されているからこそできた調査で、その経験則をもとに「内田正人前監督、井上奨前コーチから反則タックルの指示があった」と事実認定した。 日大のチームに「はまる」という隠語で呼ばれる“試合に出さずに干す”という一種のパワハラ行為が蔓延していたことをつきとめたのも専門家だからこそ聞き出せた話だ。 これらの関東学連の出した事実認定を参考にしないことが、中立を守る、客観性を担保するということになるのだろうか。 これまでに第三者委員会の聴取を受けた関係者の中からは、「今回の問題に関して何の下調べもしてきていない様子が見受けられた」という意見さえある。 また最終報告を出すスケジュールが7月下旬にずれこんだ理由も、この“すべてをゼロから始める”という第三者委員会の方針とつながっている。一切の事前情報を入れず、自分たちで調査したことだけの事実認定を、素人が積み重ねていくのだから当然、時間はかかる。 関係者の中からは「アメフットをゼロから理解、勉強するだけで半年以上が必要になるのでは」という皮肉めいた声さえある。チームに来年3月31日までの1シーズンの出場停止処分を科した関東学連は、その処分を解除するための救済条件をつけたが、9月の今季開幕に間に合わせるためのデッドラインは7月下旬。 「今季のチームの試合出場に間に合うように調査を急ぐ」という考えは、はなから第三者委員会にはなかったのである。 第三者委員会は、事件の真相究明と同時にチームの再発防止策も提案することになっている。アメフットの年間スケジュールやチーム作りの過程、或いは、日々の練習が、どう行われ、監督と各ポジションコーチの役割が何で、その関係性はどうなっているのか、などをまったく熟知しない素人が、ゼロから事実認定を積み重ねるだけで再発防止策の答えなど導き出せるものなのだろうか。