河口湖漁業協同組合の過去のURLを悪用した偽サイト。現在はアクセスできなくなっている＝22日

河口湖漁業協同組合（山梨県富士河口湖町）が過去の公式サイトのアドレスを悪用されたとして、注意を呼び掛けている。使わなくなったアドレスを第三者が取得し、オンラインカジノに誘導する架空の偽サイトを作成したとみられる。問題のサイトは現在、アクセスできなくなっているが、河口湖漁協は、警察などに被害を相談している。 河口湖漁協によると、先月、漁協職員が公式サイトを検索しようとして偶然発見した。偽サイトには「河口湖漁業組合で密かに流行の兆し?今話題のオンラインカジノとは」「河口湖漁業協同組合が管理する釣り場でジョイカジノ（Joycasino）が流行中」などと表示され、表示をクリックすると、オンラインカジノの広告サイトにつながり、オンラインカジノに誘導するようになっていたという。 偽サイトの内容は架空のものだったが、URLは、河口湖漁協が4年前まで実際に使っていたものだった。URLの中核となるウェブ上の住所を表すドメイン名を第三者が取得し、悪用したとみられる。 ドメイン名を廃止した場合、一定期間が経過すると誰でも同じ名前を取得できるようになる。廃止されたドメイン名を悪用するために取得することは「ドロップキャッチ」と呼ばれる。 ドメイン名の登録は先願制のため、申請時に使用されていないものであれば、割り当てられる。ドメインの登録・管理を行っている日本レジストリサービス（JPRS）によると、過去に使われていたドメインを取得すれば、そのドメインを使ったメールアドレスを作成できるため、詐欺メールの送信アドレスとして悪用されることなどが懸念されるという。 ドメイン名に商標登録している文字列が含まれている場合は、商標の侵害を受けたとして、認定を受けた紛争処理機関によって解決できる可能性がある。ただ、知的財産の侵害がない場合は、廃止されたドメインを新たに取得した第三者に対し、使用を差し止めるのは難しいという。ドメイン名を廃止する場合、JPRSは「サイトの閉鎖後も、一定期間はドメインの登録を継続し、影響を見極める必要がある」としている。