中高速のイギリスGPは後半戦を占う試金石 角田裕毅はメンタル面を立て直せるか
F1第11戦オーストリアGPの決勝が6月30日に行われ、RBの角田裕毅は14位に終わった。予選では知的障害者をやゆするような発言をしたとして4万ユーロ(約690万円)の罰金を審査委員会から科され、14番手タイムと振るわず、決勝でも下位に甘んじたが、チームメートのダニエル・リカルド(オーストラリア)が9位入賞を果たし、チームとしての体面は保った。 【動画】割り込まれて憤怒! 角田が周冠宇に暴言を吐いた問題シーン 前戦スペインGPでチームは大幅にアップデートした空力パッケージを持ち込んだが、初日に空気抵抗を軽減するDRS(可変リアウイング)が作動しないトラブルが発生。一部のパーツを旧型に戻したことでマシンバランスが崩れて結果を残せなかったようでリカルド15位、角田19位だった。 DRSの不具合は解消されたようだが、オーストリアGPについてはデータ収集に徹した。今回はスプリントがあるため、フリー走行の機会は初日の1回だけだったが、2台のマシンに異なる新旧パーツを装着して比較テストを行ったという。 角田は「3スティント目でペースが落ちた。その理由を突き止めなければいけない」としながらも「ダニエル(リカルド)がレースを通じていい仕事をしてくれた。最終的にはいい結果を残せた」とプラスに捉えた。 決勝では中堅チームのハースにダブル入賞されたことで、コンストラクターズポイントで6位のRBはハースに11点差に詰め寄られた。RBのメキース代表も「ユウキは予選、レースともわずかな後れを取っただけだったが、中盤の戦いが非常に厳しく、入賞圏外だった」と振り返った。 次戦は伝統のイギリスGP。会場のシルバーストーンサーキットは高速コーナーもある中高速コースで各チームとも欧州シリーズから持ち込んでいる空力パッケージの威力が発揮する。ここで苦戦すれば、シリーズ後半戦でも好結果につなげることは難しそう。大事なグランプリとなる。 心配されるのは角田のメンタル面だ。走行中の口の悪さは有名で、開幕戦では無線の内容について常に主催者のターゲットにあると苦言を呈されたことがある。その後は発言内容に気をつけていたようだが、再び悪いクセが出てしまった。 一般のドライバーもハンドルを握った途端に気性が激しくなることはある。学術的には「ドレス効果」とも呼ばれており、普段は穏やかな角田が急に豹変するのもその典型例だ。 今回の罰金額は約690万円。一部執行猶予付きで、シーズン中に「再犯」しなければ、最終的に罰金は半額に軽減される。これが角田の今後にどのように作用するか。発言が制限されることで仕事の効率が下がることもあり得る。もちろん、障がい者を差別する内容を口にはしてはいけないが、角田のみがやり玉に挙がるのはいかがなものか。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]