【男子5000m】青学大・鶴川正也が大健闘4位「優勝を狙っていたので悔しいです」
日本陸上競技選手権大会の2日目、男子5000mは伊藤達彦選手(Honda)が13分13秒56の大会新記録および自己ベストで優勝。このレースに大学生でただ一人、最後まで優勝争いに加わっていたのが、青山学院大学4年の鶴川正也選手でした。 【画像】中央大2年の柴田大地が3000m障害で大健闘の2位 「全員が格上と分かっていたので、自分が引っ張るとかどこで出るとか、そういうプランは全然なかった。ただ勝つ。最後勝って終わるだけが僕の目標。パリを狙っている遠藤日向さんや塩尻さんにも絶対に勝つと思っていました」 こう話すように、鶴川選手は優勝を目標に掲げてこの大会に挑んでいました。序盤は後輩の黒田朝日選手(3年)が先行し、積極的にペースメーカーに付いていく展開。「1000mが2分35秒で(速過ぎたので)“やばい”って思って、1000mできつくなってしまいました。でも、朝日が前にいるし、絶対に前に行かないといけないと思って、何回か離れかけたんですけど、何回も何回も粘ることができました。朝日が最初頑張ってくれたので、負けじと(力を)絞り出して最後まで行きました」 鶴川選手は後輩の奮闘に刺激を受けて、驚異の粘りを見せ、終盤まで先頭集団に食らいつきました。最後は伊藤選手のスパートに突き放されたものの、学生最上位の4位に入る健闘。記録も13分18秒51 と、2007年に竹澤健介さん(早稲田大学OB)がマークした従来の記録(13分19秒00)を上回り、屋外の日本選手学生最高記録を打ち立てました。 鶴川選手は開口一番「優勝を狙っていたので悔しいです」と悔しさを露わにしていましたが、手応えも十分にあった様子です。 「(喘息の)発作が出るぐらい、めちゃくちゃ追い込めたので、また一歩強くなれたと思います。青学はスピード練習を全くやっていない。毎週距離走があり、先週の土曜日も暑いなかクロカンコースを使って距離走をしました。そんな練習は(5000mに出場した)他の選手はやっていないと思う。粘れたのも絶対にそのスタミナのおかげだと思います。トラック練習が足りていない分、ラストのキレがなかったが、実業団に行って5000mの練習をやったら絶対に行けると思う。次は勝ちます」と、来年のこの舞台での雪辱を誓っていました。 鶴川選手は、関東インカレ(2部)の5000mでは2年時から3年連続で日本選手トップとなり、今年は留学生にも競り勝ち優勝を果たしています。一方、ロードでも高校時代には全国高校駅伝でエース区間の1区で区間賞を獲得した実績があります。しかし、大学に入学してからは、これまで駅伝を走る機会がなかなかありませんでした。3年時にようやく出雲駅伝を走ったものの、その後に大腿骨を疲労骨折し、箱根駅伝はまだ出場したことがありません。 「青学大に入ったのは、“箱根駅伝で活躍したい”“優勝に貢献したい”という気持ちがあったから」と以前鶴川選手は話していました。トラックでの勢いそのままに、最初で最後の箱根駅伝出場に向けて、秋以降の活躍にも注目が集まります。