イチゴのビールなど100種類構想を掲げ、旧小学校に醸造所 農業体験型施設に完成/京都・福知山市
京都府福知山市下地、旧中六人部小学校を活用した農業体験型施設ムトベースに、クラフトビール醸造所「Primary Barrels(プライマリーバレルズ)」が完成した。地元農家と共同栽培する大麦とホップを使用した種類を今後増やしていく予定で、市内外の飲食店や専門店などに卸し、日本全国にビールを通して地域の魅力を発信していく。 ムトベースは、篠尾新町の総合電機設備業・井上株式会社(井上大輔社長)が2020年に開設。ハウスでイチゴを栽培し、摘み取り体験もできる。廃校活用の広がりや豊かな地域コミュニティーづくりをめざしており、新たにクラフトビール事業に乗り出した。 井上社長(49)が以前、アメリカを訪れた際に視察した廃校内に醸造所があったことから着想を得たといい、「地域農業の活性化にもつながる」と、足掛け3年で施設工事や人材育成を進め、今年2月にビール醸造免許を取得して、準備が整った。 施設名には、初心を大切にしたビール作りをしたいという思いで「プライマリー(最初の)」の文字を入れる。 醸造所の広さは約97平方メートルで、容量500リットルの発酵タンクと貯蔵タンク、仕込み用のタンクなどを備え、年間製造目標は1万6千リットル。ビールの種類によって熟成させる期間や酵母を使い分け、2週間~1カ月ほどで製造できるという。 現在のラインアップは、香り豊かで深いコクが特長のエールビール4種類で、ビールの本場ドイツとイギリスの麦を使ったシトラスがほのかに香る「プライマリー」、中六人部産の麦100%でスッキリとした風味の「610(ロクイチマル)」などがある。 ビールのコンセプトを表現したラベルデザインも印象的。市内外のアーティストが手掛けていて、どれも“ジャケ買い”したくなるような個性的で目を引く出来栄えになっている。 井上の社員で、ビールの味などの構想から製造までを担うトップブリュワー(醸造責任者)の大西裕基さん(31)は、ビール製造の知識が全く無い状態から始め、神奈川県の醸造所併設のビアバーに1年間住み込みの修業をし、技術を磨いた。