猛暑日31日観測、土砂崩れ、南海トラフ地震臨時情報 2024年愛媛の夏 自然災害がもたらした影響と防災意識の高まり
2024年の夏、愛媛県では過去最高の猛暑が記録され、各地で連日35度以上の猛暑日が続き、熱中症で搬送された人も増加。観光スポットは賑わいを見せたが、自然災害も相次ぎ、防災意識の高まりが見られた。この夏の出来事を振り返る。 【画像】頂上付近の緊急車両用道路でひびが確認されていた
“2024年の猛暑”過去最高を記録
子供たちにとって楽しい思い出がいっぱいの夏休みだった。 ある中学生は「友だちとたくさん遊んだり、スケボーしたり、花火を楽しんだ」と話す。小学生も「兵庫の友だちが松山に来て一緒に花火した」と楽しい思い出を振り返る。 しかし、2024年の夏といえばやはり猛暑が印象的た。会社員は「やっぱ暑かったです。人も多いですし」と語り、女性も「めっちゃ暑かったです。年々暑くなってるなって感じた」と話す。大学生の二人組も「めっちゃ暑い」と口を揃えた。 各地でほぼ連日35度以上の猛暑日が続き、松山市ではこの夏猛暑日を観測したのは31日間と過去最高を記録した。4月29日から8月25日までの約4カ月の間に愛媛県内で熱中症で搬送された人は1197人と、2023年の同時期と比べ1.4倍のペースだった。
猛暑の中でも観光スポットはおおにぎわい
この暑さの中、プールや水辺のレジャーは連日のおおにぎわい。 とべ動物園でも「夜の動物園」というイベントが人気で、昼間の来園者が1000人なのに対し、夜は3000人が訪れたという。 とべ動物園の宮内敬介園長は「動物園に昼間出かけようというのは体力的にも辛いと思う。だから夜涼しくなってイベントを楽しむということでお越しになるお客様が多い」と語る。 道後温泉本館は7月11日に保存修理工事を終え、約5年半ぶりに全館での営業を再開した。茨城から来た男性は「霊の湯に入りました。めっちゃよかったです、熱くて」と話し、道後商店街振興組合理事長の石田匡暁さんは「たくさんの世界中のお客様に道後温泉本館を楽しんでいただきたいなと思っております」と語った。
自然災害の猛威 地震、そして土砂災害
7月12日の未明、松山城の城山で大規模な土砂崩れが発生し、ふもとの住宅やマンションに土砂が押し寄せ、断水や停電などの被害のほか、家族3人が命を落とした。 被災した住民の竹田利宣さんは「すごい音がしたんですね。ドカーンってドーンっていうような音がして行ってみると冷蔵庫が端の方まで1メートルくらいぐわっとずれてきたんです」と語る。 松山市は一時、付近の1万3000世帯あまりに警戒レベルが最も高いレベル5の「緊急安全確保」を発令。その後「避難指示」がすべて解除されたのは発生から40日後だった。観光スポットの松山城も夏休みの書き入れ時に20日間に渡り営業を中止した。 野志市長は「今年の6月30日までは安全を確保した上で、工事の緊急性は高くないと認識していた」と述べている。 頂上付近の緊急車両用道路で確認されていた路面のひび割れなどは土砂崩れの前兆だったのか、行政や専門家による原因究明が始まっている。 お盆休みを前にした8月8日、宮崎県沖の日向灘を震源とする最大震度6弱の地震が発生。愛媛県内は伊方町で最大震度4を観測し、宇和海沿岸には津波注意報が出された。 高台に避難した男性は「外に出たらサイレンが鳴りよって、とにかく高台に上がってきた」と語る。 南海トラフ地震の想定震源域で発生したマグニチュード7.1の地震に対し、気象庁は初めて南海トラフ地震臨時情報を出し、大規模地震が発生する可能性が高まっているとして「巨大地震注意」の情報を出した。 臨時情報の発表中も道後は観光客でにぎわっているように見えたが、影響は大きかった。道後温泉旅館協同組合の奥村敏仁理事長は「このお盆の時期だけではなくて8月全体、あるいは9月に入っている予約に対しても影響が出ております」と述べた。
南海トラフ警戒…防災意識の高まり
愛媛県内のホームセンターでは万が一に備え水や缶詰のほか非常用トイレなどを買い求める人が増え、防災グッズは品薄になった。 住民の防災意識には大きな変化があったようで、小学生は「水とか買い直したり、防災のリュックを見直した」と話し、中学生も「水とか非常食とか。あと防災の時に使えるロープを買いに行った」と話す。 会社員は「いつ起きるかわからないので、しっかりまず自分に災害が来ても巻き込まれても大丈夫なように普段から対策しておこうかなと真剣に考えたり、家族と話し合ったりするようになった」と語った。 2024年の夏は、災害のリスクが身近にあることを改めて感じさせるものだった。 (テレビ愛媛)
テレビ愛媛