ユニバーサルミュージックが原宿に作った“世界基準”のスタジオを訪問 Travis Japanの新譜も制作
ユニバーサル ミュージックは、自社内に備えている音楽制作スタジオである「UNIVERSAL MUSIC STUDIOS HARAJUKU」内のスタジオ『Augusta Studio』を、世界基準のスタジオと同クオリティの設備に改装した。 【写真】実際にこの場所でレコーディングを行なったTravis Japan その“世界基準のスタジオ”とは、アメリカ・ロサンゼルスにある『Capitol Studios』と、イギリス・ロンドンにある『Abbey Road Studios』のことだ。いずれも世界的に有名なスタジオで、ユニバーサルミュージックグループの傘下にある。 これらのスタジオと同クオリティへ改装するにあたり、立体音響技術のDolby Atmos®への対応をはじめ、9.1.4chのスピーカーや音響特性の調整、機材の選定など上記2スタジオなどと同等の再生環境を整えた。さらにこれらのスタジオとリアルタイムで連携することにより、原宿を拠点に世界のクリエイターとの協同作業やリモートでのスタジオワークが可能となったという。スピーカーは『IB2S XBD-A II』や「ciシリーズ」など、PMCで概ね統一されていることも特徴的だ。 同スタジオではすでにCapitol RecordsからデビューしたTravis Japanも「T.G,I Friday Night」の楽曲制作を行なっており、3月にリリース済みだ。 海外スタジオなどとのリアルタイム連携については、基本的にリモートレコーディングを行う前提で開発されたもので、Audiomovers社の「LISTENTO」という技術がつかわれている。これは遅延を0.1秒程度に抑えられるというもので、ProTools等に挿すプラグインとしても使用できるが、このスタジオでは単独のソフトとしての使用を考えているという。このソフトを活用することで、日本と海外のアーティスト同士のコラボがよりスムーズになったり、海外のエンジニアやプロデューサーからディレクションを受けることができたり、近年はアニメ音楽などでも注目される日本の作家やプロデューサーたちも海外の楽曲制作にジョインする機会も増えるかもしれない。 筆者は複数の音源を通常のステレオ環境と空間オーディオで聴き比べるという体験会にも参加。King & Prince、SEKAI NO OWARI、宇多田ヒカル、藤井 風、上原ひろみなどのアーティストの楽曲を聴いたのだが、空間オーディオの音源は奥行きがあり、声や楽器が通常の環境よりも良いバランス感で立体的に鳴っていると感じた。 海外にいかずともグローバルスタンダードなクオリティの音源を作れるというのは、向こう5~10年を考えても、日本の音楽を世界に広めるうえで大きなアドバンテージとなるだろう。今後も様々な自社アーティストの日本発世界行きの楽曲が生まれる舞台となりそうだ。
中村拓海