悪質ホスト問題、立憲・山井議員が危機感「歌舞伎町発から日本のイメージが損なわれつつある」
●男性議員だからと言って、腰が引けている場合ではない
──法改正の必要性に関する気持ちはわかりました。しかし、山井議員は京都選出の国会議員。京都府城陽市の後援会事務所から歌舞伎町は350キロメートル以上も離れているのに、なぜ、熱心にこの問題に取り組むのでしょうか? 2年少し前、AV新法関連で知り合った団体に誘われ、歌舞伎町の夜のパトロールに同行しました。そのとき初めて、性を売らざるを得ず路上に立っている多くの若い女性たちを見ました。もう、めちゃくちゃショックを受けました。しかし、当時は自分の担当分野だとは思えなかった。やはり、自分とは関係ない場所の問題だと考えてしまった。 その後、彼女たちの後ろに悪質ホストがいることがわかってきました。地元の新宿区や東京都が対策に乗り出すと期待しましたが、行政も議員もあまり動こうとしなかった。「国の問題だ」という姿勢で。たしかに票にならないし、一歩間違えたらバッシングを受ける可能性があることは、私もわかります。 ──それでも、塩村議員などと共に国会で取り上げ始めました。 売春とかホストとかの話をするのは、永田町でもタブー視されています。外交、防衛、物価高対策、子育て支援、年金、環境と日本の課題は山積みです。そんなときに売春やホストを取り上げると、「山井、大丈夫? おかしいのじゃない」と白い目で見られかねない。 ディープな問題で、AV新法のときよりも、さらにハードルが高かった。ホストクラブ側は記者会見でトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)との断絶に言及しましたが、こうした反社会的勢力との絡みも出てきますから。 リスクがあるので、「いち山井」「いち塩村議員」が取り組むのではなく、立憲が組織的に取り組むようにしました。いろいろな議員が各自が出る委員会などで質問する。先に話を出した被害防止法案の筆頭提出者は、代表選にも出ている吉田晴美議員です。 ──男性ジャーナリストである僕は、被害者インタビューなどで、ときに難しさを感じながらも、この問題の取材を続けています。山井議員はどうですか? 「女性議員が被害女性に相談されたから取り組むというのはわかるけど、山井さんは関係ないやん」。私もこう言われて、辛いときがあります。 それでも男性議員も混ざらないといけない。この問題は、国益にかかわる人権侵害の問題であり、女性対男性の戦いにしてはなりません。また、被害者が女性だから女性議員が取り組めばいいという意見は、一見正しそうだけど、その実、無責任です。 残念ながら、大量に来ている外国人観光客が日本人女性を買春して、その事実がネットを通じて世界に拡散しています。歌舞伎町発で、日本のイメージが損なわれつつある。そんなときに男性議員だからと言って、腰が引けている場合ではありません。 この問題では、よく「自己責任論」が取り沙汰されます。騙される女性が悪いと。そんなときに私はこんなふうに反論をします。真っ暗闇で歩いていたら、蓋が開いていたマンホールに落ちた。そのとき、不注意だから悪いと言いますか。それよりも、蓋を被せるのが大人や社会の責任じゃないのかと。そんな思いで、今後もこの問題に取り組んでいきます。