ブラジルの舞踏「カポエイラ」で人生一変 本場で得た技術、全国で披露 カポエイラパフォーマーの津波利光さん「魅力届け地元へ恩返ししたい」
[東京報道プラス][アクロス沖縄](208)津波利光さん(46)=宜野湾市出身 格闘技とダンスが融合し、アクロバティックな動きが特徴の「カポエイラ」に「ドハマりした」ことで人生が一変した。本場のブラジルに足しげく通い、習得した技術を全国各地で披露。16世紀から続くカポエイラは、伝統的な音楽や踊りを身に付けるだけでなく、歴史的背景や思想も理解する必要のある「奥深い舞踏」という。イベント出演のほか、小学校や少年院での情操教育にも力を入れている。沖縄でも教える機会が増えたといい、「カポエイラの魅力を届け、地元へ恩返しがしたい」。 東京都内で創作エイサー団体代表を務める、那覇市出身の水野順一郎さん 「コザで育った」と言うほど、高校時代は放課後や休日を沖縄市で過ごした。レゲエにヒップホップといった音楽が身近にあり、スタジオや公園などで他校の生徒たちとダンスを踊った。 カポエイラを知ったのは、高校3年生の時。同級生が貸してくれたビデオを見て衝撃を受けた。「かっこよ過ぎる」。 1対1で向かい合ったダンサーは独特なステップを踏み、バク転や上段蹴りなどの大胆な技を繰り出す。その周りでは、民族楽器を打ち鳴らして鼓舞する聴衆たち。初めて見る世界に心を奪われた。見よう見まねで踊っていたが、当時の沖縄には学べる場所がなく、しだいに遠のいていった。 大学進学で移り住んだ東京でカポエイラ教室を見つけ、再び火が付く。初めて出会った仲間たちと腕を磨き、のめり込んだ。 大学2年生になってブラジルを初めて訪問する。学校や路上でもカポエイラを踊っている本場の雰囲気に胸が高鳴った。 世界中のパフォーマーが師事する第一人者のコブラマンサさんの元で住み込みで学ぶ。密林で自給自足で暮らすコブラマンサさん。カポエイラの練習は、朝と夜に各2時間で、その間はもっぱら農業を手伝った。 「どんな状況でも生き抜く力を身に付ける自給自足の生活は、奴隷として虐げられてきた時代に生まれたカポエイラの考えに通ずる」という。 ニューヨークやワシントンでも修行した。ブラジルには10回以上通い、コブラマンサさんとは今でも親交を深めている。 大学を卒業してからは、カポエイラのパフォーマーとして活躍。2008年にカポエイラ教室のアンゴーラ東京を立ち上げた。運営するレンタルスタジオで、大人から子どもまで幅広く教えている。 格闘技とダンスの要素を持つカポエイラだが、基本的に勝敗をつけず、ダンサーはベストなパフォーマンスを目指し、聴衆はそれを楽しむ。「平和を求める沖縄こそ受け入れられるはず」といい、沖縄での活動を増やしていく考えだ。(東京報道部・照屋剛志) つは・としみつ 1978年生まれ。宜野湾市出身。普天間高校から、日体大に進学。卒業後、カポエイラのパフォーマーとして活躍。2016年にレンタルスタジオ運営のオンダカンパニーを設立し、代表就任。音楽ユニット「アフロテック東京」でも活動する。