谷川俊太郎さん死去 追悼相次ぐ 漫画、音楽、国際協力団体…文学界以外からも
詩人の谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう)さんが13日に老衰のため、92歳で死去。各界から追悼の声が相次いだ。 「生きる」「二十億光年の孤独」など数々の詩集を生み出し、世界各国で翻訳された日本を代表する詩人として知られた。訃報は、長男で編曲家・ピアニストの賢作氏がSNSで伝えた。新潮文庫編集部によると、葬儀は18日に近親者のみで執り行われ、後日、「お別れの会」が予定されている。 新潮文庫のほか、福音館書店、岩波書店、「ピーナッツ全集」の河出書房新社、谷川さんが翻訳を担当した「スイミー」の出版元・好学社、白泉社「月刊MOE」など各出版社が続々と公式SNSで追悼声明を発表。 直木賞作家の村山由佳氏は自身のXで「ご自宅へお邪魔したのは、おそろしく蒸し暑い夏の午後だった。『僕が子どもの時からあそこにある』という庭木の緑と、それをご覧になる谷川さんのまなざしだけが やけに涼やかだった。巨星墜つ。ただ、かなしい」「谷川俊太郎さんの訃報とともに、さまざまな方たちが自分の好きな谷川さんの詩を紹介しているのが、そのまんま祈りのようだ。私にとって、あえてひとつだけ挙げるのならこれかな。好き過ぎて、お願いして、目の前で御本人に朗読していただいた詩です」とつづり、谷川さんの作品「きみ」を挙げた。 株式会社「ほぼ日」代表取締役社長でコピーライターの糸井重里氏は、自身が主催するサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」のコンテンツに谷川さんが多数出演。自身のXで「谷川俊太郎さんのことを、名前だけ知ってるという人から、深く深く研究してた人から、詩人じゃないところでおつきあいしてた人から、たくさんの人が何か話している。こんなに谷川俊太郎ということばが声や文字になったことは、なかったかもしれない。そのまるごとぜんぶのことばを含めて、谷川俊太郎の詩だと思うことにする。まだまだそれは続く」と偲んだ。 「逃げるは恥だが役に立つ」などを手がけた漫画家の海野つなみ氏は自身のXで「谷川俊太郎さんの『さようなら』を『回転銀河』の第6話で使用させていただいた際、担当さんが許諾を取るために電話したらご本人が出られて、いいですよ~とすぐ言っていただいてびっくりしたそうです。素晴らしい詩をたくさん残されました。本当にありがとうございました」と谷川さんの詩を掲載した作品ページの画像をアップした。 料理愛好家でタレントの平野レミは自身のX(旧ツイッター)で、2019年に亡くなった夫でイラストレーターの和田誠さん(享年83)と谷川さんの縁を回顧。絵本「あくま」などでタッグを組んでおり、「5年前、谷川俊太郎先生は夫に詩を詠んでくださいました」と明かした。「『君は過去になれない男』『いのちあふれた絵に君は軽々と生き続ける』という言葉、いま、谷川先生に重ねています」とつづり「詩と絵と仲良しコンビ、この先も永遠に。心よりご冥福をお祈り申し上げます」と追悼した。 音楽界では、ミュージシャンのASKAやロックバンド「FLYING KIDS」浜崎貴司らが谷川さんから影響を受けたとして悲しみをXでつづったほか、「タワーレコード」コーポレート・ボイス「NO MUSIC,NO LIFE.」の公式Xアカウントは、「あなたにとって音楽とは?」をテーマに投げかけたポスターに谷川さんを起用。「ポスターにいただいたコメントは宝物です。謹んでご冥福をお祈りいたします」と悼んだ。 青年海外協力隊は公式Xで「JICA海外協力隊とのつながりは、30周年記念誌の『草に聞け、風に見よ』の寄稿から協力隊員への応援を頂き、また、訓練所には谷川さんの詩『若さゆえ』のパネルがあり、協力隊を志す若者を見守っています。心よりご冥福をお祈り申し上げます」とした。 国境なき医師団は公式Xで「谷川俊太郎さんご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。謹んで哀悼の意を表します。国境なき医師団では、谷川さんに寄せていただいた詩を、各地で開く『エンドレスジャーニー展』で展示しています。谷川さんへの感謝の念を改めて込めつつ、ご紹介します」と、生前に谷川さんが寄せた詩を紹介した。 生前、東京・杉並区に長く住み、広報誌にも登場。同区広報課Xは「詩人・谷川俊太郎さんが逝去されました。心よりご冥福をお祈り申し上げます」と追悼した。 谷川さんの詩は教科書にも載せられ、多くの国民に長年親しまれただけに一般からも惜しむ声が多数上がり、Xでもトレンド入り。「母校の校歌の作詞者だった」という声や、それぞれが好きな作品を挙げるなど思い思いの形で追悼していた。