3年目の円安、再び日本の設備投資を盛り上げるか-関連株に追い風も
CLSA証券のアナリストで、リサーチヘッドを務めるモルテン・ポールセン氏は「為替を考慮すれば、日本で製造することは非常に理にかなっている」と指摘。日本にはまだ多くの製造業のノウハウがあり、「最先端で世界最高水準のオートメーション産業がある」とし、設備投資は今後増加するとの見方を示す。
ただ、深刻な人手不足で企業が思ったほど生産能力を増強できないリスクはある。建設業界で既に労働者の確保が非常に難しくなっている点はそうしたリスクを高める要因の一つだ。また、企業にとっても人材確保が容易な東南アジアなどの方がより魅力的な立地条件と映る可能性もある。
とはいえ、ウクライナや中東情勢など世界的に地政学リスクが高まる中、サプライチェーン寸断のリスク軽減だけでなく、コスト面からも、国内拠点拡充のインセンティブが高まっていることは確かだ。
民間設備投資の先行指標で、内閣府が22日に発表した3月の機械受注は船舶・電力を除くベースで前月比2.9%増と市場予想(2%減)を上回り、日本の設備投資が低迷を脱しつつあるとの期待が高まっている。
インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは、過去1年ほどにわたり世界的に製造業が低迷していたことが設備投資の足を引っ張ったと指摘した半面、「その割には日本企業は設備投資を行ってきた」ともみている。
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Hideyuki Sano