【一億総“感情労働”時代】私たちがしている「感情管理と脳の働き」
相手を傷つけないよう言葉を選び、ハラスメントにも細心の注意を払う。時代の流れと共に社会の意識もアップデートされる中、私たちに求められる“感情の管理技術”もどんどん高くなっています。今注目されつつある「感情労働」について、脳科学者の恩蔵絢子先生にお聞きします! 【自律神経診断】乱れるとプチ不調に!?現在の状態をチェックしよう!
もしかしてこれって感情労働? 実はあらゆる場面で必要な感情管理
一億総「感情労働」時代!疲れた心をケアする【脳の整え方】とは? 報酬を得て自分の感情をコントロールする仕事、すなわち「感情労働」を必要とする仕事が現代では増えています。お客様への丁寧な対応が求められる接客のプロはもちろん、コールセンターやクレーム処理、ケア領域まで、その職種も様々。 ほかにも、管理職として言いたいことをぐっと飲みこんでフィードバックをするときや、仕事に限らず、小さい子どもを育てることや親の介護も、自分の感情の高度な管理が必要であり、一種の「感情労働」といえるかもしれません。 職種や環境によって求められるプレッシャーは異なりますが、この「感情労働」なるものは、ストレスや脳の疲れ=脳疲労をもたらす1つの要因と考えられています。
なぜ今話題に? タブー発言が増えた日常生活
感情労働について書かれた記事を目にする機会も、最近では増えてきました。それだけ多くの人が、感情労働のせいで疲弊しているからかもしれません。社会や会社のルールの下、「こういうことは言っちゃダメかも」「これだと炎上するかも」と悩み、神経を尖らせている。そんな状況に心当たりがある人も、少なくないのではないでしょうか。 人を相手にする接客業や管理職でなくても「高度な感情管理」が求められる社会で、みんながみんな疲れている。そうして、自分の本当の感情を上手く使いこなせず、「感情で疲れている」人が多くなっているように思います。
感情を管理するとき、脳はどうなるのか?
そもそも「感情を管理すること」とは、物事をゆっくり詳細に分析し、計画を立てて実行し、結果に対する自覚をもたらす「大脳新皮質」が、より進化的に古くから存在する、これが好き嫌いという自分にとっての価値をすばやく作り出す「感情のシステム」を整えることを意味します。 私は今悲しいんだけど、この場で泣いたらお客さんが驚いてしまうから泣くのを我慢して笑顔を作る、また、私は今これが好きでこればかりやっていたいけれども、あの仕事にそろそろ手を付けないと大変なことになると重い腰を上げる。これが感情管理ですし、今楽しい雰囲気だから笑った方がいい、逆に今はお葬式だから笑っちゃダメ、と人に合わせることもまた感情管理です。 そんなふうに、脳は知的なシステムと感情システムの連携プレーによって管理を行なっているわけです。TPOに合わせてお化粧するように、感情もシーンに合わせてお化粧をされているともいえます。 取材・文/金澤英恵 イラスト/日向山葵 Edited by 関野 桃子
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