朝ドラ『虎に翼』関連展が明治大学博物館で開催中 女性弁護士誕生までの「知る人ぞ知る歴史」資料に反響
NHKの連続テレビ小説『虎に翼』の主人公、猪爪寅子(伊藤沙莉)は日本初の女性弁護士の1人、三淵嘉子がモデルになっている。 博物館のエントランスには、記念撮影用の法服が設置されている 三淵のほか、彼女とともに日本初の女性弁護士となった中田正子、久米愛も通った明治大学では、3月から同大学の博物館(東京都千代田区)で『虎に翼』の放送にあわせ、2つの企画展を実施。来場者数は会期1か月目で約7500人を記録し、日に日に来場者数は増え、まもなく1万5000人を突破する(取材時)という。
『虎に翼』放映で「『知る人ぞ知る歴史』広く知られるきっかけに」
同大学は1929年に専門部の一部門として女子部を設置した。女子部の卒業生には同大法学部への編入が認められており、法学を志す当時の女性にとって唯一の学校であったことから、女性弁護士の多くが同大で学んだ者によって占められていた時代もあるという。 寅子のモデルとなった三淵は1914年に、台湾銀行に勤務していた父・武藤貞雄の長女としてシンガポールで誕生。1932年に女子部に入学し、法学部への編入を経て1938年に卒業した。そして同年、高等文官試験司法科に中田、久米とともに合格。修習を経て、1940年に日本初の女性弁護士の1人となった。 その後は、第2次世界大戦を経て、夫・和田芳夫の引き揚げ中の病死や、アメリカでの視察、最高裁調査官・三淵乾太郎との再婚などを経験。1952年に日本初の女性判事(名古屋地裁)、1972年に女性として日本で初めて裁判所所長(新潟家裁)に就任した。 また、弁護士となった年から母校で女子部の助手(後に助教授へ昇格)を務めるなど、後進の指導にもあたったという。 展示を主催する明治大学史資料センターの担当者は「『虎に翼』の放映により、これまで『知る人ぞ知る歴史』であった、明治大学が近現代日本の歴史において果たした先駆的役割とそのパイオニア精神が広く知られるきっかけとなることを期待しております」と語っており、企画展の展示にも力が入っている。 開催されている企画展のひとつ「女性法曹養成機関のパイオニア」展(主催:明治大学史資料センター)では日本における女性法曹養成のさきがけとなった明治大学法学部および女子部、またその卒業生についての展示が行われている。 「ドラマの世界で登場するさまざまなモノ(資料)の本物が展示されています。特に戦前の高等文官試験の受験票、三淵さんとともに日本初の女性弁護士となった中田正子さんが着用していた法服が好評です。 法服はドラマのオープニングで寅子が着用していることもあり、その実物をみることができて感激したとの感想が多数寄せられています」(明治大学史資料センターの担当者)