【ライブレポート】SANABAGUN.×フレンズ、コラボも披露したピースフルなツーマンライブ「初プリ」
8人組ジャズ/ヒップホップバンド・SANABAGUN.と4人組男女混合神泉系バンド・フレンズ。様々なフェスやイベントにも数多く参加する2組だけに、これまでにも顔を合わせることはあった両者。その2組が初のツーマンライブを、新代田LIVE HOUSE FEVERで開催した。その名も“初プリ”。 【画像】SANABAGUN.×フレンズのライブ写真(全22枚) この日の先攻はSANABAGUN.。ゆっくりとステージにメンバーが登場し、「俺らがレペゼンゆとり教育。平成生まれのHIP-HOPチーム。これが、SANABAGUN.だ! 味わえ!」という定番のコールから、ファンキーなインストのイントロに続き、ライブは2014年リリースの『Son of a Gun』収録の「B-Bop」で幕を開ける。 小節ごと、セクションごとに変化していくリズムパターンとバンドのセッション性、そして高岩遼のボーカルと、岩間俊樹のラップが絡み合い、そして時には噛みつきあうようなダイナミズムは、当然のことながらリリース当初よりもその精度とグルーヴを増し、一気に“SANABAGUN.の空気”を巻き起こし、会場を支配する。 そしてブレイクで「みんなよく来たね」と呼びかけた「板ガムーブメント」、粘着質なベースとシンセがファンク度を高める「8 manz」、縦のリズムに岩間のラップがタイトに絡む「三種の神器」では、「俺たちを見に来た奴は手を挙げろ フレンズを見に来た奴は手を挙げろ 両手を上げろ下げんな」と観客に呼びかけ、2組のイベントであることを宣言する。 MCでは「FEVERはいつぶり?」という高岩の言葉に、「10年ぶり!」と客席から声があがり、本人たちもその時間の経過に驚く。そして、これまでの熱気を一度冷ますようなダウンビートにゆっくりと観客の体が動く「Somebody」、エモーショナルな光景を描く「One Call~消せないテレフォンナンバー~」と、じっくりと楽曲を聴かせるセクションに。 しかし、持ち時間が決して長くないこともあってか、ディスコティックなビート「WARNING」からは一気呵成なダンスナンバーゾーンへ。 フレンズからえみそんをゲストに迎え、コラボで披露された「Sweet Dreams」は、ゴリゴリとした無骨なSANABAGUN.サウンドの中に、えみそんのキュートで伸びやかな声と、高岩と岩間のボーカルがユニゾンし、新たな彩りで聴かせる。 そして「人間」「FLASH」とSANABAGUN.のライブのエンディングを飾るにふさわしいドラマティックな2曲を連続で披露し、駆け抜けるようにライブを終えた。 割合的にキャリアの初期を代表する曲が多かった今回。その意味では6月21日に開催されるZepp Shinjukuでのワンマン『SANABAGUN.LIVE " 8XL " IN ZEPP SHINJUKU』は、今回のようなクラシックスと、直近の曲が配合されたステージになるかもしれないし、その期待が高まる。 FEVERはドリンクが常識外れに安いこともあり、転換ではバーカウンターには長蛇の列が。しかしアルコールに乱れることもなく、ピースな空間が広がるのもフレンズとSANABAGUN.の人徳と言えるかもしれない。 そして後攻となるフレンズは、今年2月21日にリリースされたアルバム『ユートピアン』の冒頭を飾る、オリエンタルさも感じる軽やかなメロディと歌詞が、心を軽くするような「Donuts」でライブをスタート。 そのまま恋愛の始まりの鮮やかな光景が印象的な「iをyou」、えみそんと三浦太郎のコーラスワークも印象的な「FUTURE PEOPLE」と、SANABAGUN.が黒を中心にしたモノトーンだとしたら、フレンズは広がりのあるパステルカラーのような世界観を提示し、FEVERの空気をガラリと変えていく。 そして『ユートピアン』収録の「煙のジャンクション」、フレンズ初期から歌い続けられる「NIGHT TOWN」と、ままならない状況に戸惑う、切ない胸の内を吐露するような楽曲群を中盤戦では披露。しかし、その思いが無事成就するような「東京今夜」へと着地する見事な構成には、会場も手拍子で応える。 そしてディスコティックなビートに90年代後半のJ-POP的アレンジが記憶に残る「good time」、MVでは90年代CMをオマージュしたシーンのある「ヤッチマイナ!」、まさに90年代を代表するJ-POPであるブラックビスケッツ「Timing~タイミング~」のカバーという、“Back To 90s”的な展開にフロアからは歓声が上がる(そういえば「プリント倶楽部」が登場したのも95年ですね)。 そして“初プリ”や“新代田”というワードが織り込まれた「Love,ya!」、「こんな最高な夜だからみんなで踊りましょう!」という言葉とスウェイビートに会場が身体を揺らす「愛をやめない」、SANABAGUN.から高岩と岩間を迎えたコラボ「夜にダンス」と、小気味よく、そして軽やかにライブを終えた。 ラストではドラムの関口塁の卒業ライブとなる6月7日に行われる『フレンズ ワンマンパーティ!- サヨナラ満塁ホームラン –』、6月8日に行われる新体制での『フレンズのフレンズ大集合!- 10年目のスタートは渋谷でコラボ祭 –』が改めてアナウンスされ、ライブへの期待を込めた拍手に包まれる。 えみそんが「今回は平2(平成2年/1990年生まれ)が多いから」と話していたように(とはいえ「平2」近辺はえみそんとSANABAGUN.のメンバーが中心。フレンズのメンバーはそれより年長者が多い)、世代感に加えて、リスナー層やキャリアは近いと思われる2組。 一方で「タフなSANABAGUN.」と「ポップなフレンズ」と、打ち出す音楽性は全く異なるが、サウンドカラーのコントラストが強いからこそ、そしてお互いに醸し出すピースな雰囲気は近いからこそ、“対バン”という形でタッグを組んだことに大きな意味を感じさせられた今回のイベント。“初”ということは“2度目”も“100回目”もあることを期待したい。 文:高木"JET"晋一郎 <セットリスト> SANABAGUN. × フレンズ presents「初プリ」 4月12日(金) 新代田LIVE HOUSE FEVER ■SANABAGUN. 01. デンジャーテーマ 02. B-Bop 03. 板ガムーブメント 04. 8 manz 05. 三種の神器 06. Somebody 07. One Call~消せないテレフォンナンバー~ 08. WARNING 09. Sweet Dreams 10. 人間 11. FLASH ■フレンズ 01. Donuts 02. iをyou 03. FUTURE PEOPLE 04. 煙のジャンクション 05. NIGHT TOWN 06. 東京今夜 07. good time 08. ヤッチマイナ! 09. Timing~タイミング~ 10. Love,ya! 11. 愛をやめない EN1. 夜にダンス