安いニッポン編(1)サイゼリヤの高品質と低価格に仰天!訪日観光客にとってお得感が強い日本 飲食代はNYの3分の1
【列島エイリアンズ】 円相場は4月11日、34年ぶりに一時1ドル=153円台に突入した。ドル換算すれば、日本人の給与や資産が収縮していく急速な円安に、一部では危機感も高まっているが、政府や日銀に抜本的な策を打つ動きは今のところ見られない。 【ランキング】訪日外国人の都道府県別訪問率 一方で、歓喜の声をあげているのは訪日観光客だ。 筆者には、外国人を見かけると、すぐに話しかけてしまう悪い癖がある。3月初めには、ファミリーレストラン「サイゼリヤ」の都内の店舗でテーブルを囲むタイから来たという男女4人組に、店の感想について尋ねてみた。 すると、「この店、タイよりも安い。ぜひバンコクにも出店してほしい」「なぜこの味でこんなに安くできるのか不思議」…と口々に語り、一様に価格の安さを強調した。彼らは1週間の日本滞在中に、サイゼリヤを利用するのは、この時が3回目だとも語った。 彼らは当初、シンガポールに旅行に行く予定だった。しかし、1週間の滞在となると、航空券代を合わせても日本への旅行の方が安くなることが分かり、行き先を変更したという。 インフレが加速している国からの訪問者にとっては、日本はさらにお得感が強い滞在地であるようだ。 4月頭、ニューヨークから観光に来ていた筆者の知人によると、「チップが不要なことを考えると、飲食店はニューヨークの3分の1くらい」だという。彼は、日本について「生活水準は高いのに物価が抑えられているすばらしい国」と褒めたたえた。 少し前にニューヨークに出張した際、1つ約3000円の何の変哲もないハンバーガーを、清水の舞台から飛び降りるくらいの気持ちで注文した筆者としては、微妙な気分だった。 彼は日本を気軽に旅行することができるが、日本人は、彼の国で物価の高さに震えるのだ。これを格差と言わずして何と言おうか。 かつて、日本企業の多くは低廉な人件費を目当てに生産拠点などの海外移管を進めてきた。しかし、急速な円安により、アジア支社の現地採用社員と、日本の本社採用社員の経済的な立場が逆転する現象も起きているという。 =つづく