ピーチ、関空-シンガポール就航 A321LRで足もと広く毎日運航
ピーチ・アビエーション(APJ/MM)は12月4日、関西-シンガポール線を週7往復(1日1往復)のデイリー運航で開設した。2年前の2022年12月に進出した中距離国際線の2路線目で、最新機材エアバスA321LR(1クラス218席)を投入。国内の航空会社が関西空港とシンガポールを結ぶ路線を運航するのは14年ぶりで、足もとが約10cm広く大手の国内線機材とシートピッチが同等のA321LRで海外LCCと差別化を図る。 【写真】ピーチの関空発シンガポール行き初便 冬ダイヤ(25年3月29日まで)の運航スケジュールは、シンガポール行きMM773便が関空を午後6時50分に出発し、翌日午前1時着。関西行きMM774便は午前2時15分にシンガポールを出発し、午前9時35分に到着する。 運賃は片道1万3690円(164.20シンガポールドル)から。燃油サーチャージは不要だが発券手数料や空港使用料などが別途必要となり、受託手荷物や座席指定はオプションとなる。 ピーチの最新機材であるA321LRは、2022年12月27日に開設した関西-バンコク線が1路線目となった。ピーチの福島志幸執行役員は「A321LRの導入当時からシンガポール線を計画していた。シンガポールは人気のディスティネーションであり、成長の糧になる。A321LRはピーチの機材で座席間隔が一番広く、USB端子による充電もできる。バッテリーの不安なくお過ごしいただける」と、関空で開かれた就航式典であいさつした。 A321LRは、ピーチが2012年3月の就航時から使用しているA320ceo(従来型A320)と胴体長を比べると約6.9m長く、航続距離もA320ceoの6200kmより1200km延びて7400kmになった。LRは「Long Range(ロングレンジ)」の略で、シンガポール線のように6-7時間程度の路線も開設できる。現在は3機運航している。 座席数は1クラス218席で、シートピッチは最大32インチ(81cm)。A320ceoの1クラス180席や、低燃費・低騒音の新型エンジンを搭載し、2020年10月に就航したA320neo(1クラス188席)よりも約1.2倍多い乗客を運べる。 シートピッチは大手の国内線機材と同等の30-32インチ(約76-81cm)で、A320ceoの28インチ(約71cm)と比べ約5-10cm広い。座席のエリアによりピッチが異なり、1列目から8列目までは31インチ(約78cm)、8列目から17列目までが30インチ(約76cm)、非常口を挟んで進行方向左側の18列目から左最後尾37列目までが31インチ(約78cm)、右側は18列目から26列目までがもっとも広い32インチ(約81cm)、非常口を挟んで27列目から右最後尾36列目までは31インチ(約78cm)となる。スマートフォンなどの充電に使えるUSB端子の形状は、USB Type-Aを採用した。 ピーチは、コロナ前の2018年から新事業として中距離国際線事業の準備を進めてきた。シンガポール線は、海外のLCCと競える運賃水準を目指す。
Tadayuki YOSHIKAWA