【統合により閉校へ】大船渡市の末崎中学校で最後の"ワカメ学習" 地元の基幹産業学んだ一年 岩手県
TVIテレビ岩手
20年以上にわたって地元の基幹産業であるワカメの養殖の学習に取り組んできた岩手県大船渡市の末崎中学校が2024年度末、統合により、閉校となります。最後となった「ワカメ学習」の一年の取り組みを柳田記者が取材しました。 生徒 「いらっしゃいませ、末中最後のワカメです」 11月、地域住民と交流会を開いた末崎中学校。そこで販売されていたのは、末崎中学校の生徒たちが育てたワカメです。 末崎中学校がワカメの学習に取り組み始めたのは2002年。地域についての理解、また、漁師が多いこの地区で自分たちの親の仕事についても知ってもらうのが狙いです。種付けから収穫、加工、そして販売までを体験し、理解を深めてきました。 2024年は1月に間引き作業、3月にワカメの本刈り作業を行い、最後のワカメを収穫しました。 生徒 「先輩たちから受け継いできたものなので大切な経験として一生懸命やっています」 接客と販売のプロを学校に招き、研修を行った後、末崎中学校の生徒たちは盛岡市で自分たちが育てたワカメを販売しました。販売会では行列もでき、訪れた人は次々と買い求めていました。 生徒 「難しかったが、お客さんがありがとうと笑顔で言ってくれたのがうれしかった」 「最後、自分たちが務めたことを非常にうれしいし、末崎のワカメを忘れないでほしかったのでよかった」 末崎地区はなぜワカメ養殖が盛んで、なぜこどもたちが学習に取り組んできたのか?それには大きな理由がありました。 「このままじゃ浜のみんなが貧乏なまんまだ。末崎村はさびれるばっかりだ。のりがだめでもワカメなら物になるはずだ」 10月、末崎中学校で行われた文化祭。生徒たちが披露した演劇の題材はかつてワカメの養殖に挑戦した末崎町の小松藤蔵(とうぞう)さんについてです。小松さんは漁師の所得向上を目指し、1953年からワカメの養殖に挑戦。試行錯誤の末、4年かけてワカメの養殖技術を完成させました。 「ワカメ養殖発祥の地」といわれる大船渡市末崎町。末崎中学校がワカメの学習に取り組んできたのはそんな理由があったのです。 そして11月、「ワカメ学習」の最後を締めくくる販売が地元住民との交流会で行われました。訪れた地域住民は、最後の「末中ワカメ」を多くの人が買い求め、終了するワカメ学習と今年度末で大船渡中学校に統合され、閉校する末崎中学校へ寂しさをにじませていました。 地元住民 「買いました。寂しい本当に」 地元住民 「学校が無くなるとさびれていく心配がありますので、たいへん寂しいです」 生徒 「今まで何気なく食べていた食べ物が自分の食卓に並ぶまで、こんなにもたくさんの行程を経ているんだなとということをあらためて実感できたし、地元の誇りであるワカメの生産に関われたことは自分の人生の中でとても誇りと言えるものだと思います」 恒例の「ワカメ学習」の終了、そして閉校と地域にとっては寂しい限りですが、子どもたちは、末崎の誇りを胸に新たな環境へ向かいます。