全日本大学駅伝で西村菜那子が目を引いたランナーは? 共通点は「キャプテン兼エースの意地」
単独走で区間賞を獲得した駒澤大学・篠原倖太朗選手
続いては、7区で区間賞を獲得した駒澤大学の篠原倖太朗選手(4年、富里)です。 今回、駒澤大学は前半区間で出遅れがあり、一時は関東勢で最下位だった場面もありました。しかし、後半区間で順位を徐々に上げていき、篠原選手は5位で襷(たすき)を受け取りました。 トップを行く青山学院大学の太田蒼生選手(4年、大牟田)とは2分47秒差。太田選手と、2位を行く國學院大學の平林清澄選手(4年、美方)が熾烈(しれつ)な先頭争いを繰り広げる中、篠原選手はまず城西大学の久保出雄太選手(4年、小松大谷)をかわし、4位に浮上。その後、創価大学の吉田凌選手(4年、学法石川)もとらえ、順位を二つ押し上げてアンカーの山川選手につなぎました。 今回のレースで篠原選手の強さが光っていたポイントは、単独走で区間賞を獲得したことだと思います。集団走が得意なランナーと単独走が得意なランナーがいますが、篠原選手はどちらかというと集団走に自信を持っている印象があります。単独走だと前を走るランナーが見えず、後方のランナーも見えない状況になると、ペースの維持が難しく、記録が出にくいと言われています。 そんな中、今回は17.6kmのほとんどを単独走で走り、歴代3位の区間記録をマークしました。篠原選手の猛追は、キャプテンとして、そしてエースとして「このままでは終わらせない」という強い意志を感じました。
箱根駅伝でも、また3強エース対決が見られたら……
出雲駅伝のアンカー区間で繰り広げられた太田選手、平林選手、篠原選手の「3強」エース対決が、全日本大学駅伝の7区で再び繰り広げられました。出雲を制したのは平林選手。ところが全日本は、区間タイムの上では篠原選手が制した形となりました。 箱根駅伝でも、また3強エース対決が見られたら……なんて想像が膨らみます。3強の強さがより際立った今回の全日本大学駅伝。箱根駅伝ではそこを切り崩す大学が現れるのか、またどんなシード権争いが見られるのか。1カ月半後を楽しみに待ちたいと思います。
西村菜那子