[名良橋晃]鹿島はなぜ無冠が続く? 常勝を知るからこそ言わせてもらいます
プレイモデルの確立に向けて岩政監督は試行錯誤している
鹿島が国内3大タイトルから遠ざかっています。2016年にJリーグと天皇杯、2018年にはACLに優勝しましたが、その後は苦しいシーズンが続いています。 以前といまではチーム作りが違います。選手の入れ替わりが激しく、クラブとして数年後を見据えて選手を獲得してもすぐに海外へ行ってしまいます。私が現役のころはそうした流れが少なく、チームを作りやすかった。選手の力量+明確なチーム作り。これがあって鹿島はタイトルが取れていました。 自分たちのサッカー、プレイモデルを確立していかないとますます苦しくなっていくでしょう。取材していると、岩政大樹監督がこの面で試行錯誤しているのがわかります。今シーズンに関しては、まだまだ明確な“色”は出ていないですね。 後ろから繋いでビルドアップする試合があれば、ロングボールを多用してセカンドボールの回収を狙う試合も見られます。どういうサッカーがしたいのか見えない今シーズンであり、良い言い方をすれば相手によって柔軟に対応していたとなりますが、自分たちのサッカーが確立されていないことで相手ありきのサッカーになっていました。いまの選手たちは答えを待っています。若いころからいろいろな指導者に出会うことで、頭のなかにいろいろな戦術を持ってプレイしています。彼らに対して、答えを出してあげないといけない。どう戦うのか、選手は判断を待っている面があります。 プレイモデルが確立されれば、原理原則が植えつけられれば、そこが立ち返る原点になります。対戦相手がこうした問題をすでに解決しているのに対して、鹿島はまだ劣っています。いまはやっていくしかありません。プレイモデルを確立し、それにマッチした選手を育てる。または獲得するということをやっていかないと、タイトル獲得はますます遠くなっていくでしょう。 私は以前の鹿島を知っている岩政監督にこのまま任せるべきだと考えています。ここで監督交代となったら、いままでと同じです。石井正忠→大岩剛→ザーゴ→相馬直樹→レネ・ヴァイラーとここ数年で指揮官が入れ替わるなか、現在を迎えています。いまの岩政監督は、どうプレイモデルを作るかで試行錯誤している段階です。フロントがどれだけ我慢できるかが大事です。ひとつひとつ整理して積み重ねていかないと、これからも難しいシーズンが続くことになります。