A24製作×スティーヴ・マックイーン監督 4時間11分のドキュメンタリー『占領都市』公開へ
スティーヴ・マックイーンが監督を務めたA24製作映画『Occupied City(原題)』が、『占領都市』の邦題で12月27日よりヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国ロードショーされることが決定した。 【写真】『占領都市』場面写真 本作は、マックイーン監督の妻で歴史家のビアンカ・スティグターが2019年に著した『Atlas of an Occupied City (Amsterdam 1940-1945)』が原作の、4時間11分におよぶ大作ドキュメンタリー。第2次世界大戦中の1940年5月から5年間、ナチス・ドイツの占領下におかれたオランダの首都・アムステルダムでの出来事を映像化した。 カンヌ国際映画祭スペシャル・スクリーニング部門で上映されたのち、英国インディペンデント映画賞で長編ドキュメンタリー賞やクリティックス・チョイス・ドキュメンタリー・アワードで監督賞、歴史ドキュメンタリー賞、撮影賞にノミネートされた本作。日本でも2024年3月にTBSドキュメンタリー映画祭の海外招待作品としてプレミア上映された。 運河が流れる「水の都」としても知られる風光明媚なアムステルダムに住む人々は、ナチス・ドイツの占領下におかれている間、人々は人権や言論の自由を奪われ、ユダヤ人を中心に多くの犠牲者が出た。強制収容所へ移送された人は10万7000人、統計では、その内の実に10万2000人が虐殺されたとされている。 「二度とこうした歴史を繰り返さないために」と映画化を構想したのが、『それでも夜は明ける』でアカデミー賞作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞したマックイーン。製作は『関心領域』でも知られるA24が手がけた。撮影監督はポール・バーホーヴェンやヤン・デ・ボンともタッグを組んだレナート・ヒレッジが務め、「ドキュメンタリーの一般的な撮り方は自分に合わない」と話すマックイーン監督もその撮影を、「素晴らしい」と絶賛した。音楽は同じくA24製作の『aftersun/アフターサン』 でも劇伴を手がけたオリバー・コーツが担当した。 アムステルダムを第2の故郷として暮らすマックイーン監督が目指したのは、単なる知識や情報としてではなく、その場所を映し出すことで当時の記憶を鮮烈に蘇らせるような映画。今では子供たちの声が響くにぎやかな公園、美しいレンガ造りの家。それらの美しい風景も、忌まわしい虐殺の記憶を持っている。アーカイブ映像やインタビューによる回想はあえて使わず、35mmフィルムで130カ所にも及ぶ、そのような「現場」を正確に捉えることで、約80年前の過去と現在との距離を取り払い、計り知れぬ恐怖の日々を体感させようとしている。 あわせて公開された予告編は、マックイーン監督らの撮影の一部を垣間見ることができるものとなっている。
リアルサウンド編集部