グレース・ブラウンが史上初となる五輪と世界選手権の2冠! キャリア最終シーズンの快走に「“まだ走れるのでは?”と1000回以上質問されているかもしれないね(笑)」【Cycle*2024 UCI世界選手権大会 女子エリート個人タイムトライアル:レビュー】
しばしファンダイクがホットシートを温めたが、優勝候補ひしめく最後の10人を迎えると、やはり情勢が変わってくる。マイヨ・アルカンシエルをかけたハイレベルの戦いの口火を切ったのが、63番目にコースへ飛び出したアントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ)。第1計測でトップタイムを約10秒更新すると、平坦パートに入ってからも加速して第2計測では21秒更新。暫定での一番時計を濃厚とすると、フィニッシュタイムは40分21秒。一気に42秒も引き上げて、残る選手たちにプレッシャーをかける。
次に走り出したロッテ・コペッキー(ベルギー)は、第1計測でニーダーマイヤーから27秒遅れると、第2計測でも29秒差。結局その差を挽回できず、この種目のヨーロッパ女王は今回の優勝争いから後退。パリ五輪銀メダリストのアンナ・ヘンダーソン(イギリス)もスピードに乗せきれず、約40秒遅れてのフィニッシュとなった。
ムードを一変させたのは最後から4人目、全体67番出走のフォレリングだった。スタート直後から軌道に乗せると、持ち味の登坂力を生かして丘陵パートを攻めていく。第1計測でニーダーマイヤーを上回る16分26秒で通過すると、平坦パートへ向かう下りも快調にアタック。第2計測も28分37秒と、ニーダーマイヤーとの差を拡大。あとはフィニッシュタイムがどうなるか。最後の100mをダンシングで踏み込むと、最初の40分切りとなる39分32秒。走り終えるやバイクもろとも倒れ込んだ。
しかし、このレースで誰よりも巧く走り抜いたのはブラウンだった。最後から2人目、69番目にスタートすると、上りを飛ばして第1計測を16分20秒で通過。フォレリングを6秒上回ると、その先の下りを少々抑えて平坦パートに備える。この影響で第2計測はフォレリングから8秒遅れたが、圧巻だったのが最後の約10km。再びペースアップを図ると、それまでの遅れを完全に挽回してみせた。フィニッシュに到達する頃には十分なリードを得て、初優勝は決定的。そのタイムは39分16秒。フォレリングに16秒差をつけた。
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